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HYROXはオリンピック種目になる? 決まっていること・いないことと2032年大会の手続き

HYROX(ハイロックス)は、2026年10月9日時点でオリンピックの種目には決まっていません。決まっているのは、トライアスロンの国際競技連盟World Triathlonが2025年10月18日の総会で、HYROXの形式を「Fitness Racing」として連盟の種別に加えたことです。2028年のロサンゼルス大会は競技も種目も確定済みで、HYROX側が目標に挙げているのは2032年と2036年の大会です。決まっていること・いないことと、国際オリンピック委員会(IOC)が2032年大会の種別を選ぶ手続きを、公式の発表と報道で整理します。

HYROXはオリンピック種目になる? 決まっていること・いないことと2032年大会の手続き

HYROX(ハイロックス)は、2026年10月9日時点で、オリンピックの種目には決まっていません。決まっているのは、トライアスロンの国際競技連盟であるワールドトライアスロン(World Triathlon)が、2025年10月18日の総会で、HYROXの形式を「Fitness Racing」という名前で連盟の種別に加えたことです。これは連盟の中での承認で、オリンピックに採用されたという意味ではありません。

大会ごとに見ると、2028年のロサンゼルス大会は競技も種目もすでに確定していて、HYROX側も目標にしていません。HYROX側が目標に挙げているのは、2032年のブリスベン大会と2036年の大会です。2032年大会については、国際オリンピック委員会(IOC)が2026年8月に、候補を誰が出せるかを国際競技連盟に伝えた段階です。

根拠にしたのは、World TriathlonとIOCの公式サイトの発表と、HYROXの関係者の発言を伝えたReuters・ドイツの通信社dpaの記事です。

01

HYROXはオリンピック種目に決まっていない(2026年10月9日時点)

HYROXとオリンピックをめぐる動きの時系列。World Triathlonが2025年10月18日の総会でHYROXの形式を連盟の種別として承認、2028年ロサンゼルス大会は競技と種目が確定済み、2032年ブリスベン大会は種別が未定で手続き中、HYROX側の目標は2032年と2036年の大会
出典:World Triathlon・IOCの発表、Reuters、dpa(2026年10月9日時点)。目盛りは等間隔で、年の間隔とは比例していません

HYROXがオリンピックで実施されると決まったという発表は、2026年10月9日時点で確認できていません。確かめられた内容を、決まっていること・目標・未定に分けると次のとおりです。

項目

状況

出どころ

World Triathlonによる承認

決定。2025年10月18日の総会で「Fitness Racing」を新しい種別として承認

World Triathlonの発表

「Hyathlon(ハイアスロン)」という名前

この名前で承認されたとReutersが報道。World Triathlonの発表では確認できていない

Reuters

2028年ロサンゼルス大会

競技と種目は確定済み。追加の5競技にHYROXは無く、HYROX側も「早すぎる」と説明

IOCの発表・Reuters

2032年ブリスベン大会

未定。HYROX側の目標。IOCが実施する種別を選ぶ手続きの途中

IOCの発表・dpa・Reuters

2036年の大会

未定。HYROX側の目標

Reuters

オリンピックで何を実施するかを決めるのはIOCです。World Triathlonの承認は、その手前の段階にあたります。

02

World Triathlonが承認したのは連盟の種別でオリンピック種目ではない

World Triathlonは、2025年10月18日にオーストラリアのウーロンゴンで第38回の総会を開きました。112の加盟連盟が現地またはオンラインで出席し、「Fitness Racing」と「Swimrun(スイムラン)」の2つを、World Triathlonの傘下の新しい種別として承認しています。発表によると、会員の圧倒的多数が賛成しました。

発表は、Fitness Racingを「国際的なフィットネスブランドのHYROXが開発し、切り開いた複数競技の形式」と説明していて、形式の中身までは書いていません。HYROXの公式サイトは、HYROXのレースを、1kmのランと1つの種目を8回繰り返す形式と説明しています。World Triathlonは、トライアスロンのほかにデュアスロンやアクアスロンなどの複合競技も統括していて、Fitness Racingはそこに加わりました。

World Triathlonの発表は、この承認とあわせて、民間の主催者と組んで新しい機会を探していく姿勢を示しています。ドイツの通信社dpaも、HYROXは2025年10月からトライアスロンの世界連盟に属していると書きました。

「Hyathlon(ハイアスロン)」の名前は、2026年8月19日のReutersの記事に出てきます。 World Triathlonがこの形式を「Hyathlon」の名で承認した、という内容です。ただ、Reutersは承認を「今年」(2026年)と書いていて、World Triathlonの発表にある2025年10月の総会とは時期が合いません。World Triathlonの公式サイトで、この名前を使った発表を編集部は確認できていません。

この承認がオリンピックの話につながるのは、トライアスロンがオリンピックの競技だからです。トライアスロンは2000年のシドニー大会で初めてオリンピックに採用され、World Triathlonはその国際競技連盟です。専門メディアのBOXROXは、この承認が、国際的な標準化と、いずれはオリンピックでの採用の検討へ向かう道筋になりうると書いています。

World Triathlonの発表のうち、Fitness Racingの承認を伝えた部分に、オリンピックでの実施に触れた記述はありません。BOXROXも同じ記事で、承認はオリンピックでの採用を保証するものではないと書いています。

03

2028年ロサンゼルス大会の競技と種目は確定している

2028年のロサンゼルス大会は、実施する競技も種目もすでに決まっています。IOCの発表で確かめられるのは次の2点です。

  • 追加競技:IOCは2023年10月の総会で、野球・ソフトボール、クリケット、フラッグフットボール、ラクロス、スカッシュの5競技を追加競技に決めました。ロサンゼルスの組織委員会が、この大会に限るものとして提案した競技です
  • 種目:IOCの理事会が、メダルを争う351種目と選手の出場枠を承認しました。発表は2025年4月9日です。競技は、31競技に追加の5競技を加えた構成です

種目の承認が発表されたのは、World TriathlonがFitness Racingを承認する約半年前でした。

HYROX側も、2028年の大会は目標にしていません。HYROXのインド責任者のディーパック・ラジ(Deepak Raj)氏は2026年8月、Reutersに、2028年は早すぎたと話しました。理由には、この競技がまだいくつかの地域や国に広がっていなかったことを挙げています。

04

2032年ブリスベン大会の種別はIOCが選ぶ手続きの途中

2032年のブリスベン大会(2032年7月23日〜8月8日)で何を実施するかは、IOCの2026年8月13日の発表の時点で、まだ決まっていません。IOCはこの大会から決め方を変えました。IOCの発表を時期の順に並べると次のとおりです。2025年の2つは、発表した時点の予定です。

発表の時期

IOCが発表した内容

2025年3月17日

2032年大会の最初の競技プログラムは、2026年のIOC総会で決める(発表した時点の予定)

2025年9月19日

最初の競技と種別、組織委員会が提案する追加競技を、2026年に1つにまとめて確定させる(発表した時点の予定)

2026年6月10日

理事会が、種別ごとに評価する新しい決め方を、6月24日・25日の第146次IOC総会に提案する

2026年8月13日

新しい決め方は総会で承認済み。候補の種別を誰が提案できるかを、国際競技連盟に伝えた

2026年8月13日の発表には、候補の中から何をいつ決めるのかは書かれていません。2025年に示された「2026年に確定させる」という予定が変わっていないかどうかも、この発表からは確かめられませんでした。実施する種別が確定したというIOCの発表は、2026年10月9日時点で編集部は確認できていません。

2032年大会からは種別ごとに評価して選ぶ

理事会が提案して総会が承認した新しい決め方は、競技(sport)ではなく種別(discipline)を単位にしています。IOCの定義では、種別は、ひとつの競技の中の1つ以上の種目のまとまりで、専用の競技場か、ほかの種別と共用する競技場の大きな改修が必要になるものです。

IOCが2026年6月10日に発表した総会への提案では、評価は次の順に進みます。まず、すべての種別が、組織の統治、アンチドーピングの順守、公正さを守る措置、選手の安全と保護について審査を受けます。次に、世界的な訴求力、費用と運営の複雑さ、選手の代表性の3点を中心に評価されます。最後に、評価の高い候補の種別と、評価の低い既存の種別が、一貫した客観的な尺度で直接比べられます。既存の種別は、開催契約が参照する大会にすでに入っている種別で、候補の種別は、その大会のプログラムに入っていない種別です。種別のプログラムを決める権限は、IOC総会にあります。

総会がこの決め方を承認したことは、2026年8月13日の発表で確かめました。承認のときに細部が変わったかどうかは、編集部は確認できていません。

候補の種別を提案できるのは国際競技連盟と組織委員会

2032年ブリスベン大会の種別が決まるまでの流れ。候補の提案、最初の審査、3つの基準での評価、候補の種別と既存の種別の直接比較、IOC総会での決定の5段階。HyathlonがIOCに提案されたかどうかは確認できていない
出典:IOCの発表(2026年6月10日・8月13日)をもとに編集部が作成(2026年10月9日時点)

2026年8月13日の発表によると、2032年大会の候補を提案できるのは次の3者です。

  • ブリスベン2032の開催契約に含まれる種別を統括する国際競技連盟:追加の種別を1つ提案できます
  • それ以外の、IOCが承認する国際競技連盟:東京2020・パリ2024・ロサンゼルス2028で、組織委員会の提案によって実施された種別を統括する連盟だけが対象です
  • ブリスベン2032の組織委員会:追加の種別をIOCに提案できます

HYROXは、World Triathlonの発表で「国際的なフィットネスブランド」と呼ばれていて、国際競技連盟ではありません。この手続きに入るには、国際競技連盟かブリスベンの組織委員会が、IOCに提案する必要があります。

World TriathlonがHyathlonを候補として提案したかどうかは、分かっていません。 IOCの発表には、HYROXやHyathlon、トライアスロンの名前は出てきません。トライアスロンが開催契約に含まれる種別にあたるかどうかも、IOCの発表からは確かめられませんでした。

HYROX側は、この2032年大会を目標にしています。共同創業者のモーリッツ・フュルステ(Moritz Fürste)氏は、2026年8月3日更新のdpaの記事で、「2032年の大会で、初めて立候補の手続きに加わるのがはっきりした目標」と話しました。

05

2036年の大会はHYROX側が目標に挙げている段階

2036年の大会は、HYROX側の発言に目標として出てくるだけです。ラジ氏はReutersに、「2032年と2036年が道筋であり、目標だ」と話しました。2036年の大会について、IOCやWorld Triathlonの発表でHYROXに触れたものは確認できていません。

IOCの新しい決め方では、競技と種別の中核のプログラムは、原則として大会の7年前か、開催地を選ぶ総会のどちらか遅いほうで確定します。2036年の大会に当てはめると、原則どおりなら2029年以降です。

06

HYROXの関係者と選手がオリンピックについて話した内容

オリンピックについての発言は、2026年8月の2本の記事に出ています。

発言した人

伝えた記事

内容

モーリッツ・フュルステ氏(共同創業者)

dpa(2026年8月3日更新)

2032年の大会で、初めて立候補の手続きに加わるのがはっきりした目標。ハイブリッドレースは観客が楽しめる競技で、オリンピックに必要なもの

ディーパック・ラジ氏(HYROXインド責任者)

Reuters(2026年8月19日)

2028年は早すぎた。2032年と2036年が道筋であり目標。世界選手権に101か国の選手が出て、基準は確立された

アリッサ・マケルヘニー(Alyssa McElheny)選手(2026年の世界チャンピオン)

Reuters(2026年8月19日)

オリンピックはまだ数年先で、その前に競技の標準化がさらに必要。オリンピックにとてもよく合う競技だと思う

フュルステ氏は、2008年の北京大会と2012年のロンドン大会のホッケーの金メダリストです。dpaの記事は、HYROXをオリンピックに導くことは本人にとって「一周して元の場所に戻るような瞬間」になるが、それが最優先ではないとも伝えています。

3人の発言は、どれも目標や見通しを話したものです。IOCやWorld Triathlonが決めた内容ではありません。BOXROXは採用までの課題として、ルールと基準を地域をまたいで一貫させること、強い市場の外へ広げ続けること、HyathlonがWorld Triathlonのもとで育つ時間が要ることを挙げています。

07

オリンピック種目でなくてもHYROXの大会には出られる

オリンピックに採用されるかどうかは、いま開かれているHYROXの大会への参加とは関係がありません。BOXROXも、HYROXの当面の成長はオリンピック競技になるかどうかに左右されないと書いています。

HYROXの公式サイトは、HYROXを誰でも出られるフィットネスレースとして作ったと説明していて、出場資格のタイム基準はありません。日本では、2027年1月21日〜25日に大阪で、4月16日〜18日に名古屋で開かれる予定です(2026年10月1日時点の公式サイトの大会一覧)。日程と会場は日本の大会のページにまとめています。

世界一を決める大会は、オリンピックとは別にすでにあります。HYROXの世界選手権で、2027年は6月10日〜13日に香港で開かれます。出場枠の仕組みはHYROXで勝ったらどうなる? 世界選手権への道で説明しています。

世界の参加者数の伸びはHYROXはなぜ人気?、創設からの流れはHYROXの歴史にまとめています。

08

KEY TAKEAWAYS

  • HYROXは、2026年10月9日時点でオリンピックの種目には決まっていません
  • World Triathlonは2025年10月18日の総会で、HYROXの形式を「Fitness Racing」として連盟の種別に加えました。連盟の中での承認で、オリンピックへの採用ではありません
  • 2028年のロサンゼルス大会は競技も種目も確定済みで、HYROX側も目標にしていません
  • 2032年のブリスベン大会は、IOCが実施する種別を選ぶ手続きの途中です。候補を提案できるのは国際競技連盟と組織委員会で、HyathlonがIOCに提案されたかどうかは分かっていません
  • HYROX側は2032年と2036年の大会を目標に挙げています。オリンピックに採用されるかどうかに関係なく、HYROXの大会には出られます
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