スパルタンレース · 8 MIN READ
スパルタンレースの由来と歴史|2010年の始まりと「アルー(AROO)」の意味・掛け声を公式の資料で確認
スパルタンレース(Spartan Race)の由来について、世界の公式サイトは、2010年にアメリカ・バーモント州の農場で始まった障害物レースで、古代スパルタの戦士の粘り強さと規律に着想を得たと説明しています。日本では2017年5月に初めて開かれました。レースで叫ぶ「アルー(AROO)」は公式のレースガイドや案内の結びに出てくる掛け声ですが、確かめた範囲では公式は意味や語源を説明していません。公式の資料で確かめられることと、よく言われる説を分けて整理しました(2026年10月27日時点)。

スパルタンレース(Spartan Race)の由来について、世界の公式サイトは、2010年にアメリカ・バーモント州の農場で創設者のジョー・デ・セナ(Joe De Sena)が始めた障害物レースで、古代スパルタの戦士の粘り強さと規律に着想を得たと説明しています。日本で初めて開かれたのは2017年5月で、2026年は日本上陸から10周年にあたります。レースで叫ぶ「アルー(AROO)」は、公式のレースガイドや案内の結びに出てくる掛け声ですが、確かめた範囲では、公式は意味や語源を説明していません。
公式の資料で確かめられることと、確かめられないことを分けて書きます。
世界の公式サイトでは、始まりは2010年のアメリカ・バーモント州の農場
世界の公式サイトによると、スパルタンレースの発祥は、2010年のアメリカ・バーモント州です。グリーンマウンテンズ(Green Mountains)にある農場で生まれました。創設したのは、持久系の競技に打ち込むアスリートで起業家でもあるジョー・デ・セナです。公式サイトは、創設の背景に「現代の生活は人を軟弱にした」という考えがあったと書いています。公式サイトのページの末尾にも「Established 2010 - Vermont」とあります。
創設者は、スパルタンレースを始める前から、自分の農場で「Death Race」という催しを開いていました。公式サイトの説明では、メダルも快適さも完走の保証もない、先の読めない過酷な催しです。参加したのは世界でも特にタフな少数の人たちでした。もっと多くの人に、きつさを乗り越えたときの誇りを味わってもらいたいと考えて作ったのが、障害物レースのスパルタンレースだと公式サイトは説明しています。
公式サイトは、バーモントの泥の中で開いた1つのレースが、今では世界の数百万人のコミュニティに広がったとも書いています。Death Raceが始まった年や、最初のスパルタンレースの会場・参加人数は、公式のページには書かれていません。

名前の由来は古代スパルタの戦士
世界の公式サイトは、スパルタンレースを「古代スパルタの戦士の粘り強さと規律に着想を得た障害物レース」で、言い訳を振り切って来る気のある人なら誰でも参加できるように作った、と説明しています。名前について「〜から付けた」と一言で書いた文はありませんが、レースの考え方の元に古代スパルタの戦士があることは、公式の説明から読み取れます。
古代スパルタについては、公式ショップのブログが、すべての男性が生涯にわたって軍事の訓練と任務に就いた、高度に組織された古代ギリシャの都市国家だったと紹介しています。ペルシャ帝国の侵攻を退けたことにも触れ、このレースの名前の元になった戦士たちとして位置づけています。ただし、これは読み物の記事で、レース名の由来を公式に定めた文ではありません。
世界の公式サイトは、ギリシャのスパルタを「スパルタンの精神的なふるさと(Spartan's spiritual home)」「英雄の伝説の生まれ故郷(legendary birthplace of heroes)」と呼んでいます。1年でSprint・Super・Beastの3種類を完走するトライフェクタの世界選手権を毎年スパルタで開いていて、2026年のレースは10月30日〜11月1日です。ページはこの大会を「ふるさとに帰ってくる(coming home)」と書いています。
日本での始まりは2017年5月(2026年で日本上陸10周年)
日本の公式サイトによると、日本で初めてスパルタンレースが開かれたのは2017年5月です。健康志向の広がりや、ランニング・トレーニングの人気の高まりを背景に始まったと説明しています。
日本でスパルタンレースを主催する株式会社SRJは、2026年1月29日のプレスリリースで、2017年の初開催のあとも全国の各地で続けて開いてきたこと、2026年が日本上陸から10周年にあたることを伝えています。リリースの題にも「日本上陸10周年」と入っています。
日本の初開催の会場や種目は、日本の公式サイトの同じページには書かれていません。2026年の日本の大会はスパルタンレースの日程に、レースの種類と距離・障害物の全体像はスパルタンレースとはにまとめています。
「アルー(AROO)」は公式の資料の結びに出てくる掛け声
「アルー」は、公式の資料では英字で「AROO」(または「Aroo」)と書かれています。参加者のレポートには、カタカナで「アルー」と書いたものもあります。

公式の資料での使われ方は次のとおりです。
公式の資料 | 出てくる文 | 使われ方 |
|---|---|---|
日本の公式サイトが公開しているレースガイド(2023〜2026年の8本) | 「レースでお会いしましょう。」(英語版は「See you on race day!」)のあとに「AROO! AROO! AROO!」 | 本文の最後の結び。どの版も3回続ける |
米国向けの公式ヘルプ(制限時間についての質問) | Most races don't have a time limit. Just sign up, show up, and keep going! AROO! | 回答の最後の励まし |
公式ブログ(スロバキア向けの公式サイトの、スタートの準備の案内) | See you on course! AROO! | 記事の結びのあいさつ |
世界の公式サイトのトライフェクタ世界選手権のページ | In Sparta, you'll find more than a finish line; you'll find your Tribe. Aroo! | 仲間について書いた段落の結び |
マレーシアの公式の大会ページ | Heed the call and SIGN UP NOW ! AROO ! | 申し込みを呼びかける文の最後 |
公式ショップのブログ | You've done the Spartan Race, you've shouted the "Aroo!" chant | レースで叫ぶ掛け声として触れる |
日本のレースガイドは、2023年の新潟から2026年の秩父・東京ドイツ村・新潟、キッズ向けのガイドまで、どれも問い合わせ先の手前の最後の一文を同じ形で結んでいます。公式の使い方を並べると、別れ際のあいさつ、励まし、申し込みの呼びかけ、仲間についての段落の結びに付いています。公式の使い方を並べると、決まった意味を伝える言葉ではなく、あいさつや励ましに添える掛け声に見えます(編集部の見方)。
公式の資料では「アルー」の意味や語源が見つからなかった
日本の公式サイト、世界の公式サイト、公式ショップのブログ、米国向けの公式ヘルプで、「AROO」の意味・語源・始まりを説明した文は見つかりませんでした。2026年10月27日時点で編集部が保存していたスパルタンレースの公式のページ約110本の本文を「aroo」で検索して確かめた結果です。
ただし、公式のすべてのページを読んだわけではないため、「公式に定義が無い」とまでは言い切れません。「アルーの意味は何か」と聞かれたら、今のところは「公式は意味を示しておらず、あいさつや励ましの掛け声として使っている」が、公式の資料で言える範囲です。
映画『300』とのつながりは公式の資料では確かめられない
公式の資料で、「AROO」を映画『300』と結びつけた記述は見つかりませんでした。公式ショップのブログは映画『300』に1回触れていますが、スパルタの兵がほかの都市国家の兵よりも死ぬまで戦う気構えが強かったという描き方についてで、「AROO」の由来としては書いていません。
公式でない資料では、スタートのMCを務める男性へのインタビュー(心拍計などのフィットネス機器を扱う Myzone のブログ・2022年6月10日)に映画『300』が出てきます。MCを探していたSpartan Raceの側から口上の原稿を受け取ったとき、友人が映画『300』の映像を編集で差し込み、MCが「WHO AM I?」と言うたびに映画の兵士たちが「AROO, AROO, AROO!」と叫び返す動画を作って、その場で採用された、と話しています。ただし、これは採用のときの動画の話で、「AROO」が映画から来たとは書いていません。「AROO」が映画『300』から生まれたとはっきり書いた資料は、今回の調べでは出典として確かめられませんでした。
スタート前の「Who am I?」「I am Spartan!」のコールは日本の公式の案内に載っていない
海外の雑誌 Skillset のウェブ版の記事「AROO! Competing In Your First Spartan Race」は、スタート前にMCが読み上げる口上を載せています。口上の中でMCは「Who am I?」と問い、参加者は「I am a Spartan!」と答えるよう求められ、最後は「Who am I? I am a Spartan! Aroo, Aroo, Aroo, Go!」で締めくくられます。記事は、最後の「Aroo!」の声でスタートすると書いています。前の節のMCへのインタビューでも、MCは「WHO AM I?」と問いかけています。
日本の大会の様子では、茨城県つくば市のジムのブログに載った参加レポートに、司会かDJの人がスタート前の参加者を盛り上げ、スタート位置で「アルー!アルー!アルー!アイムスパルターン!」とみんなでコールしてからレースが始まったとあります。上の口上とは順番が少し違います。
日本の公式のレースガイドと、よくあるご質問のうち画面に出ている「レース当日」の節には、この進め方の記載はありません。参加者が文言を覚えておくように求める案内もありません。受付からスタート、フィニッシュまでの当日の流れはスパルタンレース当日の流れにまとめています。
KEY TAKEAWAYS
- スパルタンレース(Spartan Race)は2010年、アメリカ・バーモント州の農場で生まれました。創設者がその前に開いていた過酷な催し「Death Race」を、もっと多くの人が挑めるようにしたのが始まりだと、世界の公式サイトは説明しています
- 名前の元は古代スパルタの戦士です。公式は「戦士の粘り強さと規律に着想を得た」と書き、ギリシャのスパルタを「精神的なふるさと」と呼んで、毎年トライフェクタの世界選手権を開いています
- 日本では2017年5月に初めて開かれ、2026年は日本上陸から10周年にあたります
- 「アルー(AROO)」は、日本の公式レースガイド8本の結び(AROO! AROO! AROO!)や、世界の公式の案内に出てくる掛け声です。公式の資料では、意味や語源の説明は見つかりませんでした
- 「AROO」が映画『300』から来たかどうかは、公式の資料では確かめられません。スタート前の「Who am I?」「I am Spartan!」のコールは海外の記事やMCへのインタビューに出てきますが、日本の公式のレースガイドには載っていません
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