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ギア · 10 MIN READ

HYROXでテーピングは使える? ルール上の扱いとテープの種類・研究で分かっていること

HYROX(ハイロックス)の公式ルールブックには、テーピングを使ってよいとも、禁止とも書かれていません。使ってよい物7点にも禁止の物9点にもテープの名前は無く、体に貼るテープが「原則禁止・レース前に書面の許可」という決まりの対象の物に当たるかも書かれていないため、テーピングをして出たい人はレース前に主催者へ問い合わせてください。ルールブックごとの記載、許可品7点で膝や手を支える方法、テープの種類と巻き方が公開されている部位、テーピングの研究4本で分かっていることをまとめています(2026年10月12日時点)。

HYROXでテーピングは使える? ルール上の扱いとテープの種類・研究で分かっていること

HYROX(ハイロックス)の公式ルールブックには、テーピングを使ってよいとも、禁止とも書かれていません。レース中に使ってよい物7点にも、禁止の物9点にも、テープ・テーピング・キネシオロジーテープの名前はありません。ルールブックで「テープ」という語が出てくるのは、バーピー・ブロードジャンプの開始位置の目印だけです。

一方でルールブックには、使ってよいと書かれていない物は原則禁止で、使いたい物はレース前に大会ディレクターの書面の許可を得る、という決まりがあります。体に貼るテープがこの「物」に当たるかどうかは書かれていません。テーピングをして出たい人は、レース前に主催者(日本の大会ならHYROX Japan)へ問い合わせてください。膝を支えたいならニースリーブ、手を守りたいならグローブが、使ってよい7点に名前がある物です。

根拠は、HYROX公式ルールブック(2026/27シーズンのシングルス・ダブルス・リレー・アダプティブの英語版と日本語版、2025/26シーズンの3冊)、HYROX Japanの公式サイト、テーピングテープのメーカー(ニチバン)の説明、PubMedに載っている論文の抄録4本です(2026年10月12日時点)。

01

テーピングはルールブックの使ってよい物にも禁止の物にも名前が無い

ルールブックの第10章(リレーは第8章、アダプティブは第11章)に、レース中に使ってよい物と、常に禁止の物のリストがあります。どちらにも、テープやテーピングの名前はありません。

リスト

載っている物

テープ・テーピング

使ってよい物(7点)

ニースリーブ、グローブ(グリップは不可)、ウエイトリフティングベルト、リストバンド、ハイドレーションパック、喘息用吸入器や類似の処方器具、呼吸器

名前が無い

禁止の物(9点)

ヘッドホン、携帯電話(医療目的で事前承認を得た場合を除く)、VRヘッドセット、GoProなど装着型カメラ、ヘルメット、呼吸装置、圧縮空気ボンベ、耳栓、カメラなどの機能付きのスマートグラス

名前が無い

部門やシーズンで違いがあるかも確かめました。どのルールブックでも、テープの名前は使ってよい物にも禁止の物にもありません。

ルールブック

使ってよい物

テープの記載

シングルス(2026/27・英語版と日本語版)

7点

バーピー・ブロードジャンプの開始位置の目印だけ

ダブルス(同)

7点

同じ

リレー(同)

7点

同じ

アダプティブ(同)

7点

同じ

シングルス・ダブルス・リレー(2025/26・英語版)

7点

同じ

ルールブックに出てくる「テープ」は、バーピー・ブロードジャンプの動作の決まりの中だけです。各区間の最初の1回は、両手を白いスタートラインより後ろ(床の上か、色の違うテープの上)に置いて始めます。床に貼られた目印の話で、体に貼るテープのことではありません。

HYROX Japanの公式サイトのルールブックの案内とサポートのページ、HYROX Italyの公式FAQ(英語版)にも、テープ・テーピングの記載は見つかりませんでした。

体に直接貼るテープは量の制限なく使える、という条項がルールブックにあると書く海外の情報サイト(Hyrox Vault)もあります。しかし、2026/27のシングルス・ダブルス・リレー・アダプティブ(英語版と日本語版)と2025/26のルールブックを検索しても、その条文は見つかりませんでした。引用元の版を確かめられないため、この記事では根拠にしていません。

02

名前が無い物は原則禁止で、使うにはレース前に書面の許可が要る

ルールブックは、使ってよい7点として明記されていない物を、原則としてすべて禁止とみなします。大会ディレクターから事前に書面の許可を得た場合は使えます。許可の無い物は没収され、レースのあとにカスタマーサービスデスクで返してもらえます。

腕時計、カメラなどの機能が無い眼鏡・サングラス、リストラップも、テープと同じく、どちらのリストにも名前がありません。ルールブックはこれらを個別には扱わず、この一般の決まりだけを定めています。ほかの持ち物の扱いはHYROXの持ち込みルールにまとめています。

テーピングの場合は、この決まりの当てはめ方がはっきりしません。ルールブックは、体に直接貼るテープがこの「物」に当たるかどうかを書いていないからです。実際の大会でテーピングをどう扱っているかを定めた条文も無く、ルールブックから分かる範囲では、禁止とも許可とも言い切れません。

03

テーピングをして出たいときにレース前にすること

ルールブックに答えが無い以上、確実なのは出る大会の主催者に聞くことです。

  1. 主催者に問い合わせる。日本の大会なら、HYROX Japanの公式サイトの問い合わせページで、まずFAQを見て、見つからなければ問い合わせフォームから現地のカスタマーサポートに連絡します(2026年10月5日確認)。FAQの「お問い合わせ」欄には、カスタマーサービスのメールアドレスも載っています(2026年10月1日確認)
  2. 許可が要ると言われたら、ルールブックの手続きどおり、レースの前に大会ディレクターの書面の許可をもらう
  3. 許可が出ない、または返事が間に合わないときは、使ってよい7点の中から選ぶ
テーピングをして出たい人がレース前に確かめることを4枚のカードにした図。ルールブックの使ってよい7点にも禁止の9点にもテープの名前は無く、「テープ」が出るのはバーピー・ブロードジャンプの床の目印だけ。名前が無い物は原則禁止で、使うにはレース前に大会ディレクターの書面の許可が要るが、テープが「物」に当たるかは書かれていない。日本の大会ならHYROX Japanに問い合わせ、許可が要ると言われたら書面でもらう。7点の中で支えるなら、膝はニースリーブ、手はグローブ(グリップは不可)、腰はウエイトリフティングベルトで、足首を支える物は名前が無い
出典:HYROX公式ルールブック(2026/27シーズンのシングルス・ダブルス・リレー・アダプティブ、英語版と日本語版。2025/26シーズンの3冊)、HYROX Japanの公式サイト(2026年10月12日確認)

支えたい部位ごとに、使ってよい7点に名前がある物を並べると次のようになります。

支えたい・守りたい部位

使ってよい7点に名前がある物

詳しい記事

膝

ニースリーブ(支柱付きの装具やニーパッドは名前が無い)

膝サポーターの記事

手

グローブ(グリップは不可)

グローブの記事

手首

リストバンド(リストラップを含むかどうかは書かれていない)

リストラップとベルトの記事

腰

ウエイトリフティングベルト

同上

足首・ふくらはぎ・足の裏など

名前がある物は無い(足首のサポーターや装具も無い)

—

使ってよい7点を使うときは、スタートからフィニッシュまで身につけ続けなければなりません。途中で人に渡したり、人から受け取ったりすると外部からの補助にあたり、失格になる場合があります。ダブルスやリレーで、1つのニースリーブやグローブを相方と交代で使うことはできません。

04

テーピングテープの種類(伸びないテープ・伸びるテープ・キネシオロジーテープ)

テーピングテープのメーカー(ニチバン)は、スポーツテーピングを、けがの応急処置から予防までをテープで支える技術と説明しています。テープは目的によって、伸びないテープと伸びるテープを使い分けます。

種類

特徴

メーカーが挙げる目的

伸びないテープ(非伸縮)

伸びない。メーカーの製品はホワイトと、巻いているのが目立ちにくいベージュの2色で、性能は同じ

強い固定や圧迫

伸びるテープ(伸縮)

伸びる。メーカーの製品は4タイプ(最も動きを制限するもの、動きやすさを優先したもの、筋肉のサポートが中心のもの、手で切れて手軽に使えるもの)

動きの制限、固定、圧迫

キネシオロジーテープ

筋肉の伸び縮みに近いとされるテープ。一人で巻けるセルフテーピングもこのテープがもと

筋肉の保護や動作のサポート

アンダーラップテープ

テーピングテープの下に先に巻く

皮膚がかぶれやすい人向け。皮膚への刺激と、はがすときの負担をやわらげる

どのテープを選ぶかについて、メーカーは、巻き方や目的によって合うテープが変わるとして、巻き方のページごとに使うテープを載せています。巻き方と症状に合わせて選び、紹介していないテープを使うときは、テープの特性を理解したうえで自分で判断するよう書いています。

キネシオロジーテープについて、メーカーは日常の痛みを和らげる効果も期待できると説明しています。研究で確かめられていることは、下の「テーピングの研究で分かっていること」の節にまとめました。

05

テーピングの巻き方がメーカーから公開されている部位

メーカー(ニチバン)がテーピングの巻き方を公開している部位は、指、手首、腕と肘、肩、腰、ふともも、膝、すね、ふくらはぎ、足首、アキレス腱、足の指、足の裏です。肘は「テニス肘」、膝は「ランナーズニー」のように、症状や競技の名前で分けて載せています。

これはメーカーが巻き方を載せている部位の一覧で、HYROXの出場者がどこにテープを貼っているかを調べたものではありません。HYROXの選手を調べた研究で多かったケガの部位(膝・背中・下腿・股関節)は、HYROXで多いケガと予防にまとめています。

06

テーピングの研究で分かっていること

テーピングの効果を調べた研究のうち、PubMedに載っている4本の抄録を確かめました。4本ともHYROXの選手を調べた研究ではありません。

まとめると、足首の捻挫の予防では、装具などの外部の予防用の支えが有効とするレビューがあります。ただし抄録には、その支えにテーピングが含まれるかは書かれていません。キネシオテープについては、障害の無い人への使用は裏づけられず、けがのあとに使う根拠も不十分です。

テーピングの研究4本で分かっていることを、読者の問いごとに並べたカード図。足首の捻挫の予防では、装具などの外部の支えは捻挫の危険を減らすのに有効で、テーピングを含むかは抄録に書かれておらず、費用と効果では足首の装具が最もよい結果。キネシオテープは、筋疲労や慢性の病気がある人では筋力が上がったが、障害の無い人への使用は裏づけられず、筋疲労や病気などがある人でも跳躍などへの効果は根拠が不十分。腰痛と膝の変形性関節症で偽のテープより有益という証拠は質が低い。けがのあとに使う根拠は不十分。4本ともHYROXの選手を調べた研究ではない
出典:Journal of Athletic Training(2019年)、BMC Musculoskeletal Disorders(2019年)、Physiotherapy(2019年)、Physician and Sportsmedicine(2012年)のPubMedの抄録。HYROXの選手を調べた研究ではありません(2026年10月12日確認)

足首の捻挫の予防(Journal of Athletic Training、2019年)

足首の捻挫の予防に関するレビューです。外部の予防用の支えと、予防のための運動プログラムは、捻挫をしたことが無い人にも、したことがある人にも、捻挫の危険を減らすのに有効と結論づけています。費用と危険の減り方では、足首の装具(ブレース)が最もよい結果でした。抄録で支えとして名前が出るのは足首の装具だけで、テーピングが含まれるかは抄録からは分かりません。一方で、スポーツの場面ごとの質の高いランダム化比較試験は少ないと述べています。なお、足首の装具はHYROXの使ってよい7点に名前がありません。

キネシオテープと脚の筋力・跳躍(BMC Musculoskeletal Disorders、2019年)

キネシオテープが下肢の筋力と跳躍の成績に及ぼす影響を、37件のランダム化比較試験でまとめたメタ分析です。筋疲労がある人と、慢性の筋骨格系の病気がある人では、筋力が上がったと報告しています。障害の無い人への使用は裏づけられず、避けたほうがよいかもしれないとしています。筋疲労や筋骨格系の病気、整形外科の手術後などの状態がある人では、跳躍など運動の成績への効果は根拠が不十分です。

キネシオテープと偽のテーピングの比較(Physiotherapy、2019年)

キネシオテープだけを使った群と、偽のテーピングの群を1週間以上比べた、ランダム化比較試験6件のメタ分析です。慢性の腰痛では、追跡した時点の痛みでキネシオテープが上回りましたが、直後の痛みと機能障害の点数には有意な差がありませんでした。結論は、腰痛と膝の変形性関節症で、キネシオテープ単独が偽のテーピングより有益だという証拠は質が低く、確定的でないというものです。対象は筋骨格系の病気がある成人で、健康な競技者ではありません。

けがのあとのキネシオテープ(Physician and Sportsmedicine、2012年)

スポーツでのけがにキネシオテープが効くかを調べた、6件の研究の系統的レビューです。けがのあとにキネシオテープを使う根拠は不十分としました。ただし、本人が感じる効果は否定できないとし、質の高い研究が少ないことも挙げています。発表から年数がたったレビューです。

痛みがあるときに整形外科を受診する目安は、HYROXで多いケガと予防で学会の資料から整理しています。

07

テーピングスプレーを飛行機で持って行くときの量の決まり

テーピングスプレーやテープをはがすスプレーを飛行機で運ぶときの決まりは次のとおりです。国土交通省の代表例では、テーピングスプレーもテープをはがすスプレーも、コールドスプレーと同じ「医薬品類」に入り、機内持ち込みと預け入れのどちらもできます。1つの容器は0.5Lまたは0.5kg以下、1人あたりは化粧品類・医薬品類・スプレー缶を合わせて2Lまたは2kg以下です(2026年10月2日確認)。国際線の液体の決まりなど、遠征の荷造りはHYROX遠征の持ち物チェックリストにまとめています。

08

KEY TAKEAWAYS

  • HYROXのルールブックには、テーピングを使ってよいとも禁止とも書かれていません。使ってよい7点にも禁止の9点にもテープの名前は無く、シングルス・ダブルス・リレー・アダプティブ、2025/26の版でも同じです
  • ルールブックで「テープ」が出てくるのは、バーピー・ブロードジャンプの開始位置の床の目印だけです
  • 名前が無い物は原則禁止で、使うにはレース前に大会ディレクターの書面の許可が要ります。体に貼るテープがこの「物」に当たるかは書かれていないので、テーピングをして出たい人はレース前に主催者へ問い合わせます
  • 使ってよい7点で支えるなら、膝はニースリーブ、手はグローブ(グリップは不可)、腰はウエイトリフティングベルトです。足首を支える物は7点に入っていません
  • テープは伸びないテープ(強い固定・圧迫)と伸びるテープ(動きの制限・固定・圧迫)に分かれ、キネシオロジーテープは筋肉の伸び縮みに近いとされるテープです。皮膚がかぶれやすい人には、下に巻くアンダーラップテープがあります
  • 研究では、足首の捻挫の予防に装具などの外部の支えが有効とするレビューがある一方(テーピングを含むかは抄録に書かれていません)、キネシオテープは障害の無い人への使用が裏づけられておらず、けがのあとに使う根拠も不十分です
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