トレーニング · 12 MIN READ
ランジウォークの効果とやり方|使う筋肉を測った研究とHYROXの100m
ランジウォーク(ウォーキングランジ)で主に使うのは、太ももの前とお尻の筋肉です。筋肉の活動を測った研究では、足を動かさないランジよりも歩くランジのほうがお尻の活動が大きく、歩幅・上体の傾き・前後の向きでも使われ方が変わりました。研究ごとの人数と条件、ACEの手順によるやり方、HYROX(ハイロックス)のサンドバッグランジ100mとの関係を整理します。

ランジウォーク(ウォーキングランジ)で主に使うのは、太ももの前(大腿四頭筋)とお尻(大殿筋)の筋肉です。筋肉の活動を測った研究では、足を動かさずにその場で上下するランジよりも、歩きながら行うランジのほうが、お尻の筋肉の活動が大きくなっていました(31%に対して58%)。
歩幅を広げる、上体を前に倒す、後ろに下がるといったやり方の違いでも、使われる筋肉や関節にかかる負荷は変わります。ただ、歩幅については2つの研究で結論の向きが違い、上体を前に倒したときは、お尻の活動が増えた研究と、腰の筋肉の活動が増えた研究があります。フィットネスレースのHYROX(ハイロックス)には、サンドバッグを担いで100mをランジで進む種目があります。動きはランジウォークに近く、後ろの膝を毎回地面に着けるといった規定が加わります。
読んだのは、ランジの筋肉の活動や関節への負荷を扱った論文6本の抄録(要旨)、米国の運動指導資格団体ACEの種目ページ、HYROX公式サイトとルールブックです(2026年10月5日時点)。論文は抄録で確かめた範囲だけを書いています。どれも、その場の測定で筋肉の活動や関節への負荷を見たもので、続けたら筋肉が増えるか、体重が減るかを確かめたものではありません。
ランジウォークで主に使う筋肉は太ももの前とお尻
ランジウォークは、片脚を前に踏み出して腰を落とし、立ち上がりながら反対の脚を踏み出して前へ進むトレーニングです。ウォーキングランジとも呼ばれます。
HYROX公式サイトは、サンドバッグを担いで行うランジ(サンドバッグランジ)を「主に太もも・臀筋を使う種目」と紹介しています。研究が挙げる部位も同じです。
2025年に学術誌 Journal of Functional Morphology and Kinesiology に載った研究は、成人20人に、12回がやっとの重さを使って前方ランジ(前に踏み出すランジ)をしてもらい、脚とお尻の筋肉の活動を筋電図で測りました。筋電図は、筋肉が働くときの電気的な活動を皮膚の上から記録する方法です。研究チームは結論で、筋肉の使われ方を2つに分けています。
- 活動が「高い〜非常に高い」:大腿四頭筋(太ももの前)、大殿筋(お尻)、中殿筋(お尻の横)
- 活動が「中程度」:ハムストリングス(太ももの裏)、腓腹筋(ふくらはぎ)、長内転筋(内もも)
この研究が測ったのは、前に踏み出して元の位置に戻るランジと、足を動かさずに上下するランジです。上の2つの分類も、重りを持って行う前方ランジについてのもので、歩いて進むランジを測った結果ではありません。歩いて進むランジを含めて比べた研究は、次の節で紹介します。
お尻の筋肉については、16本の論文をまとめた2020年のレビューもあります。重りを使う種目のうち、大殿筋の活動が「非常に高い」(その筋肉が最大の力を出したときの60%超)に分類された種目に、ランジが入っています。最も高かったのは台に上がるステップアップとその変形で、ランジは、デッドリフトやヒップスラスト、スクワットと並んで、それに続く種目とされています。
2025年の研究チームは、活動が高かった3つの筋肉について、筋肉を大きくし筋力を伸ばすことにつながると書いています。ただ、この研究が測ったのは動いている最中の筋肉の活動です。ランジを何週間か続けて、筋肉の量や筋力がどう変わったかは測っていません。体重が減るか、どれだけカロリーを使うか、お尻の形が変わるかも、今回読んだ6本の抄録には出てきません。
歩くランジは足を動かさないランジよりお尻の筋肉を使う
2021年に International Journal of Exercise Science に載った研究は、ランジを3種類に分けて比べています。足の位置を変えずに行う静止ランジ、前に踏み出すランジ、歩きながら行うウォーキングランジです。参加したのはトレーニング経験のある若い女性12人で、体重の30%の重りを使いました。

お尻の大殿筋の活動は、静止ランジが31%、前に踏み出すランジが54%、ウォーキングランジが58%でした。数値は、その筋肉が最大の力を出したときの活動に対する割合の平均です。足を動かす2つのランジが、静止ランジより大きくなりました。前に踏み出すランジとウォーキングランジの間に差があったかどうかは、抄録に書かれていません。
太ももの前(大腿直筋)と太ももの裏(大腿二頭筋)の活動は、どの条件でも同じ程度でした。
腰の筋肉も測られています。腰の下部の脊柱起立筋の活動は、静止ランジが24%、前に踏み出すランジが26%、ウォーキングランジが40%で、ウォーキングランジが最も大きくなりました。歩きながら行うと、お尻に加えて腰の筋肉も使われるという結果です。
先ほどの2025年の研究も、同じ向きの結果を出しています。前に踏み出して元の位置に戻るランジは、足を動かさずに上下するランジより、大殿筋と中殿筋の活動が大きくなりました。
数字を読むときに気をつけたい点が2つあります。
- ウォーキングランジの大殿筋の58%は平均の値です。抄録には58±30と、ばらつきを示す値が添えられていて、参加者による差が大きい測定でした
- 2021年の研究の参加者は女性12人だけです。男性の場合や、重りがもっと重い場合に同じ数字になるかは分かりません
この2つの研究から言えるのは、お尻の筋肉を使いたいときは、その場で上下するランジより、踏み出すランジか歩くランジのほうが向いているということです。歩く場所が取れないジムでも、前に踏み出して元の位置に戻るランジなら、静止ランジより大殿筋の活動が大きくなっていました。
歩幅を広げたときの変化は2つの研究で結論が違う
今回読んだ論文のうち、歩幅を変えて筋肉の活動を比べたものは2本です。結果は、条件によって分かれています。
2025年の研究は、短い歩幅と長い歩幅を比べました。長い歩幅のほうが、大腿四頭筋・ハムストリングス・腓腹筋・内転筋・大殿筋の活動が大きくなっています。ただ、大腿四頭筋には逆向きの結果もあります。足を動かさずに上下する条件では、短い歩幅のほうがおおむね大きくなっていました。研究チームは結論で、脚の筋肉の活動は短い歩幅より長い歩幅のほうがおおむね大きい、とまとめています。
一方、2026年9月に先行公開された研究は、通常の歩幅で足りると結論しています。30〜64歳の健康な成人15人が、ゆっくりのランジウォーク(eccentric lunge walking)を行いました。抄録の説明では、踏み出した脚で体重を約3秒支えながら、膝を約90度まで曲げていく動きです。歩幅は、通常、通常より20%長い、40%長いの3通りです。結果は次のとおりでした。
- 膝が曲がる角度の最大値は、歩幅が長いほど大きい(通常で70.3度、20%長い歩幅で81.1度、40%長い歩幅で85.6度)
- 沈む局面(eccentric)と止まる局面(isometric)の筋肉の活動は、歩幅を変えても差がない
- 立ち上がる局面(concentric)では、40%長い歩幅のほうが通常の歩幅より、外側広筋(太ももの前の外側)と大殿筋の活動が大きい(外側広筋は87.6%に対して105.6%、大殿筋は53.4%に対して78.1%)
研究チームは、歩幅を長くすれば沈む局面の筋肉の活動が増えると予想していました。結果は予想と違い、長い歩幅は立ち上がる動きを難しくしただけだった、と書いています。
2つの研究は条件が違います。2025年の研究は、平均26〜27歳の人が、12回がやっとの重さを使って行いました。2026年の研究は、30〜64歳の人がゆっくり沈む動きで行い、抄録に重りを持ったという記載はありません。測り方も違うので、2つの研究の数字を直接比べることはできません。
歩幅を広げたときに太ももの前とお尻の活動が大きくなる場面があった点は、両方の研究に共通しています。違うのは、いま挙げた条件と、結論のまとめ方です。2025年の研究は、長い歩幅のほうが筋肉の活動が大きいとまとめました。2026年の研究は、増えると予想していた沈む局面の活動が変わらなかったので、通常の歩幅で足りるとまとめています。
歩幅を広げると1歩ごとの立ち上がりがきつくなることは、2026年の研究の数字に出ています。広いほどよいとは言い切れません。何cmの歩幅が適切かを示した資料は、今回読んだ範囲にはありませんでした。
上体を前に倒したランジで活動が増えた筋肉は2つの研究で違う
上体の角度を変えたランジを比べた研究は2つあります。
2008年の研究は、健康な成人10人で、上体をまっすぐにしたランジ、前に倒したランジ、後ろにそらしたランジの3つを比べました。前に倒したランジでは、まっすぐのランジより、股関節を曲げる角度と股関節を伸ばす力が大きくなり、大殿筋とハムストリングス(大腿二頭筋)の活動も大きくなりました。後ろにそらしたランジでは、関節への負荷も筋肉の活動も、まっすぐの場合と変わりませんでした。
2021年の研究(女性12人)は、上体をまっすぐにした場合と前に傾けた場合を比べています。前に傾けると、腰の下部の脊柱起立筋の活動が20%から40%へ、2倍になりました。抄録が上体の傾きによる差として挙げているのは、この腰の筋肉だけです。大殿筋が上体の傾きで変わったとは書かれていません。太ももの前と裏の活動はどの条件でも同じ程度で、太ももの裏については2008年の研究と結果が違います。
上体を前に倒すやり方は、お尻や太ももの裏を使いたいときの選択肢になります。ただ、その根拠は10人で測った2008年の研究です。2021年の研究では、前に傾けると腰の筋肉の活動が大きくなっていました。腰の筋肉への負荷を抑えたいときは、上体をまっすぐにしたランジを選べます。
ACE(American Council on Exercise)の種目ページは、フォワードランジの手順のなかで、沈むのと同時に、背中を平らに保ったまま股関節から上体を前に曲げる、と書いています。どのくらい曲げるかは書かれていません。上体をまっすぐにしたランジを選ぶ場合は、ACEの手順からこの部分を外すことになります。
どちらの研究も、抄録にはサンドバッグを担いで測ったという記載がありません。HYROXの本番で腰にどれだけ負荷がかかるかは、この2本からは分かりません。サンドバッグを背中のどこに乗せるかは、サンドバッグランジの代用トレーニングの記事で扱っています。
前に踏み出すランジと後ろに下がるランジの関節への負荷の違い
ランジには、前に踏み出す方法のほかに、後ろに脚を引いて沈む方法(後方ランジ、バックランジ)があります。2015年の研究は、ケガのあとのリハビリでよく使われる片脚の種目として、片脚スクワット・前方ランジ・後方ランジの3つを、成人男性9人で比べました。重りは使わず、体重だけで行っています。
測ったのは、関節にかかる力のモーメント(関節を回そうとする力の大きさ)です。
- 股関節:前方ランジが、後方ランジと片脚スクワットより大きい
- 膝:片脚スクワットが後方ランジより大きい。片脚スクワットと前方ランジの間に差はない
- 足首:片脚スクワットが、前方ランジと後方ランジより大きい
著者はこの結果から、負荷を段階的に上げる順番を2つ示しています。
- 股関節の負荷を上げていくなら、片脚スクワット、後方ランジ、前方ランジの順
- 膝と足首の負荷を上げていくなら、後方ランジ、前方ランジ、片脚スクワットの順
3つの種目のなかでは、後方ランジが膝と足首の負荷を上げていく順番の最初に置かれています。膝や足首への負荷を小さいところから上げていきたい人が、後方ランジから始めて前に踏み出すランジへ進むのは、この順番に沿ったやり方です。ただ、この研究はウォーキングランジを比べていないので、ランジウォークがこの順番のどこに入るかは分かりません。参加者は男性9人で、重りも使っていません。
膝に痛みがあるときは、種目を選ぶ前に医療機関に相談してください。HYROXで多いケガはHYROXで多いケガと予防に、膝のサポーターの決まりはHYROXの膝サポーターにまとめています。
横に踏み出すサイドランジは、筋肉の活動をほかのランジと比べた研究を確かめられなかったので、この記事では扱っていません。
ここまでの結果を、やり方ごとに並べ直すと次のようになります。

ランジウォークのやり方(ACEの手順をもとに)
ACEの種目ページは、前に踏み出して元の位置に戻るフォワードランジの手順を、4つの段階で説明しています。器具は使わず、難易度は中級と表示されています。
- 足をそろえて立ちます。肩を下げて後ろに引き、腰を反らさずにお腹に力を入れて、背骨を固めます
- 片足を上げ、支える脚の上で体を安定させます。上体を左右に傾けません。踏み出す脚はかかとから接地し、体重を前の足に移します
- 腰を前に押し出すのではなく、床に向けて落とします。すねが前に動きすぎるのを抑えるためです。無理のない深さまで、または前脚の太ももが床と平行になるまで下げます。沈むのと同時に、背中を平らに保ったまま、股関節から上体を前に曲げます
- 前脚で床を押し、太ももの前とお尻の筋肉を使って、元の立った姿勢に戻ります
ACEは、フォワードランジの前に、まず床の上での片脚立ちを覚えるよう勧めています。
この手順は、歩いて進むランジ専用のものではありません。ランジウォークでは、4で元の位置に戻る代わりに、立ち上がりながら後ろの脚を前に踏み出して次の1歩に入ります。体を固めてから踏み出すこと、上体を左右に揺らさないこと、腰を床に向けて落とすことは、歩いて進む場合にもそのまま使えます。
重りを足すときは、ダンベルを両手に1つずつ持ち、腕を体の横に下げて行う方法があります。Gymsharkのトレーニングガイドは、この持ち方だと脚に加えて握力にも負荷がかかるとしています。リュックやバーベルを使う方法はサンドバッグランジの代用トレーニングに、器具が少ない環境での練習は自宅でできるHYROXの練習にまとめています。
HYROXのサンドバッグランジは100mのランジウォーク
HYROXでは、8種目の7番目にサンドバッグランジを行います。サンドバッグを両肩に乗せたまま、100mをランジで進みます。重さは部門で決まっていて、2026/27シーズンは、女子が10kg、男子・女子プロ・ミックスダブルスが20kg、男子プロが30kgです。
ルールブックは動きも決めています。次に挙げるのは、技術規定のうち、1歩ごとの動きの形に関わる項目です。練習でランジウォークをするときも、この形にそろえておくと本番の動きに近づきます。
- 1歩ごとに、後ろに残した脚の膝を地面にはっきり着ける
- 1歩ごとに、膝と股関節を伸ばして立ち上がる
- 左右交互に踏み出す
- 続けて進んでも、両足をそろえて止まってもよい
- 1歩と次の1歩の間に、歩いたり足を滑らせたりしない
研究で使われた重りを、本番の重さと比べます。2021年の研究の重りは体重の30%でした。体重50kgなら15kg、体重60kgなら18kgです。女子の10kgより重く、女子プロやミックスダブルスの20kgに近い重さです。この研究の参加者は女性だけなので、男子の部門に当てはまるかは分かりません。重りをどう持ったかも、抄録には書かれていません。
測定の条件も本番とは違います。研究が測ったのはランジの動きそのもので、ランニングやほかの種目を終えたあとに100mを進む本番の条件では測っていません。お尻と太ももの前、腰の筋肉を使う種目だということは研究から読み取れますが、本番でのきつさを表す数字ではありません。
判定の基準やペナルティ、部門ごとの重さの一覧はサンドバッグランジの種目ページにあります。ジムでの練習の組み方は普通のジムでできるHYROXの練習メニューに、自分の部門の重さが扱えるかの考え方はHYROXに必要な筋力にまとめています。
KEY TAKEAWAYS
- ランジウォークで主に使うのは、太ももの前(大腿四頭筋)とお尻(大殿筋)です。重りを持った前方ランジを測った2025年の研究は、太ももの前とお尻(大殿筋・中殿筋)の活動を「高い〜非常に高い」、太ももの裏・ふくらはぎ・内ももを「中程度」とまとめています
- 足を動かさないランジより、踏み出すランジや歩くランジのほうがお尻の筋肉を使います。女性12人の研究では、大殿筋の活動が静止ランジで31%、ウォーキングランジで58%でした。腰の筋肉の活動もウォーキングランジが最も大きくなっています
- 歩幅を広げたときの変化は、2つの研究で結論が違います。2025年の研究では脚とお尻の活動がおおむね大きくなり、2026年の研究では立ち上がる局面だけ太ももの前とお尻の活動が大きくなりました。広いほどよいとは言い切れません
- 上体を前に倒すと、お尻と太ももの裏の活動が大きくなったという研究と、腰の筋肉の活動が2倍になったという研究があります
- 測定を行った5本の研究はどれもその場の測定で、参加者は9〜20人です。続けたら筋肉が増えるか、体重が減るかは測られていません。HYROXのサンドバッグランジは100mで、練習では後ろの膝を床に着け、毎回立ち上がる形にそろえます
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