トレーニング · 16 MIN READ
スレッドプルの効果と使う筋肉|研究で分かっていることとHYROXの重さ
スレッドプル(ソリ引き)の効果と使う筋肉を、研究の抄録とHYROX(ハイロックス)公式の資料から整理しました。主に使うのは背中・上腕二頭筋・前腕・体幹と、お尻・太ももです。後ろ向きにソリを引く運動の研究では、1回の練習で血中乳酸が大きく上がり、13〜15歳の男子が8週間続けた研究では走りとジャンプが伸びました。引き方ごとに使う部位、練習の頻度の目安、HYROXの部門別の重さも示します。

スレッドプル(ソリ引き)で主に使うのは、背中・上腕二頭筋・前腕(握る力)・体幹と、お尻・太ももです。腕で引く種目に見えますが、海外のトレーニングガイドは、体を後ろに倒して下がる引き方では脚の力と体重を使うと説明しています。
研究で分かっているのは、後ろ向きに進みながらソリを引く、スレッドプルとは別の運動についての2点です。1つは1回の練習で起きる体の反応です。筋力トレーニングの経験がある男性11人の研究では、血中乳酸が12.4mmol/Lまで上がり、跳ぶ力は直後に約22%下がって、3時間後には戻っていました。もう1つは続けたときの効果です。13〜15歳の男子が、ソリを引いて後ろ向きに走る練習を週2回・8週間続けた研究では、10m走と20m走のタイム、ジャンプの高さが伸びています。
HYROX(ハイロックス)のスレッドプルは、立ったままロープでソリを手繰り寄せる形です。この形で、背中の筋肉が大きくなる、握力が上がるといった効果を確かめた研究は、編集部が探した範囲では見つかりませんでした。HYROXでは3番目の種目で、ソリ込み78kg・103kg・153kgのいずれかを50m引きます。
もとにしたのは、HYROX公式サイトの種目紹介とルールブック、論文データベースのPubMedに載っている研究の抄録(論文の要約)8件、HYROXの模擬レースと上位選手の記録を調べた論文2本、海外のトレーニングガイド(PureGym・Hybrid Athlete Club・Gymsharkなど)です(2026年10月9日時点)。
スレッドプルで使う筋肉は背中・腕・体幹とお尻・太もも
スレッドプルは、重りを載せたソリ(スレッド)にロープをつなぎ、手前に引き寄せるトレーニングです。
HYROX公式サイトは、スレッドプルで使う部位として、お尻(臀筋)・背中・上腕二頭筋・体幹全体を挙げています。英国のジムチェーンPureGymのトレーニングガイドは、上半身・体幹・下半身・握る力の4つに分けて、筋肉の名前まで挙げています。下の表は、2つの資料が挙げる筋肉を部位ごとに並べたものです。
部位 | 筋肉 | HYROX公式 | PureGym |
|---|---|---|---|
背中 | 広背筋 | ●(背中) | ● |
腕 | 上腕二頭筋(力こぶの筋肉) | ● | ● |
前腕 | 前腕の屈筋と伸筋(握る力) | — | ● |
肩 | 肩の筋肉 | — | ● |
体幹 | お腹(腹直筋・腹斜筋)と腰 | ●(体幹全体) | ● |
お尻 | 臀筋 | ● | ● |
太もも | 前(大腿四頭筋)と裏(ハムストリング) | — | ● |
「—」は、その資料が名前を挙げていないという意味です。使わないという意味ではありません。
スポーツウェアブランドのGymsharkは、スレッドプッシュと比べた説明をしています。スレッドプッシュは脚で押す種目で、スレッドプルは背中・上腕二頭筋・脊柱起立筋(背骨に沿った筋肉)など体の背面を多く使い、より大きな上半身の力が要る、という説明です。PureGymは、上半身の運動に見えても全身を使う運動で、心臓と肺にも負荷がかかると書いています。
握る力については、資料によって書き方が違います。HYROX公式サイトは、スレッドプルの紹介で握力に触れていません。公式が握力を挙げているのはファーマーズキャリーだけです。一方、PureGymは使う筋肉に前腕(握る力)を入れ、トレーニングプログラムのHybrid Athlete Clubは、HYROXの中で握力に大きく頼る数少ない種目だとしています。握力の練習はHYROXの握力の鍛え方にまとめています。
スレッドプルの引き方ごとに主に使う部位
スレッドプルは、引き方によって力を出す部位が違います。トレーニングガイドが紹介している引き方は、大きく3つです。

後ろへ歩いて下がる引き方は脚の力と体重を使う
ロープを持ったまま後ろへ歩いて下がる引き方は、ウォークバックと呼ばれます。PureGymは、1m四方ほどの範囲で、背中を平らに保ち、脚の力で後ろへ歩いてソリを引くと説明し、脚の力を出しやすい引き方だとしています。
Hybrid Athlete Clubは、腕を伸ばしたまま体を後ろに倒し、体重で引く方法として紹介しています。腕を伸ばしておくと筋肉への負担が減る、という説明です。同社は、この引き方は重いソリで最も効率がよく、プロ部門でよく使われるとしています。
同社は、脚で床を押してから腰を前に出して引く方法(ヒップエクステンション)も別に挙げています。力の大半を脚とお尻で出す引き方です。
後ろ向きに歩く動きそのものを調べた研究もあります。2025年の国際会議で発表された研究で、時速2・2.5・3kmの前向きの歩行と後ろ向きの歩行を筋電図で比べています。筋電図は、筋肉が働くときの電気的な活動を皮膚の上から記録する方法です。後ろ向きに歩くと、太ももの前の筋肉(外側広筋と大腿直筋)の活動が増え、ふくらはぎの内側の筋肉の活動は減りました。何も引かずに歩いたときの測定で、ソリを引いたときの値ではありません。
その場で手繰る引き方は上腕二頭筋と握る力に頼る
立つ位置を変えず、手を交互に出してロープを手繰る引き方は、ハンドオーバーハンドと呼ばれます。PureGymは、膝を曲げ、体幹を締めたまま手繰る方法として説明しています。
Hybrid Athlete Clubは、この引き方は上腕二頭筋に大きく頼り、腕が早く疲れやすいとしています。この引き方を使うつもりなら、握力を十分につけておくことも勧めています。
引き方は両方試して選ぶ
どの引き方がよいかについて、PureGymは、どちらも有効なので両方を試して自分に合うほうを選ぶよう勧めています。脚の力を出しやすいのは後ろへ歩いて下がる引き方で、上半身が強い人はその場で手繰る引き方を好むかもしれない、としています。
引き方にかかわらず共通している助言もあります。PureGymは、どちらの引き方でも体幹を締め、背中を平らに保つよう書いています。Hybrid Athlete Clubと、トレーニングプログラムのVirtuosityは、急に強く引くより、一定のリズムで途切れずに引くほうがよいとしています。
引き方の分け方は資料によって違います。それぞれの手順とロープの扱いはスレッドプルの種目ページにあります。
スレッドプルの効果について研究で分かっていること
HYROXのように、立ったままロープでソリを手繰り寄せる形を調べた研究は、編集部が探した範囲では見つかりませんでした。見つかったのは、後ろ向きに進みながらソリを引く運動の研究2件です。後ろ向きに進む点は同じですが、全力で引きずったり走ったりする運動で、ロープを手繰るスレッドプルとは別の運動です。1件は1回の練習で起きる体の反応を、もう1件は続けたときの効果を調べています。
研究で分かっていること | 何を調べた結果か | 調べた運動と対象 |
|---|---|---|
血中乳酸が大きく上がり、跳ぶ力が一時的に下がる(3時間以内に戻る) | 1回の練習で起きる反応 | ソリを後ろ向きに全力で引きずる練習。筋力トレーニングの経験がある男性11人 |
走りとジャンプが伸びる | 8週間続けたときの効果 | ソリを引いて後ろ向きに走る練習。13〜15歳の男子115人 |
背中や腕の筋肉が大きくなる | 確かめた研究は見つからなかった | — |
握力が上がる | 確かめた研究は見つからなかった | — |
脂肪が減る・カロリー消費が増える | 確かめた研究は見つからなかった | — |
後ろ向きにソリを引く練習では血中乳酸が大きく上がった
2014年に学術誌 Journal of Strength and Conditioning Research に載った研究は、後ろ向きに進みながらソリを引きずる練習を1回行い、そのあとの体の反応を24時間後まで追っています。
参加したのは、筋力トレーニングの経験がある男性11人です。体重の75%の重さを載せたソリを、全力で後ろ向きに20m引きずります。これを2本で1セットとし、5セット行いました。休みは1本ごとに30秒、セットの間に120秒です。

練習の前後で測った値のうち、3つの変化を挙げます。
- 血中乳酸は、練習前の1.7mmol/Lから、直後に12.4mmol/Lまで上がりました。60分後も3.8mmol/Lと高く、3時間後には元の値に戻っています
- 跳ぶ力(垂直跳びのパワー)は、直後に約22%下がりました。3時間後と24時間後には回復しています
- 筋肉の損傷の指標(クレアチンキナーゼ)は、24時間後までのどの時点でも変化がありませんでした
血中乳酸は、運動のきつさの目安として測られる値です。著者は、ソリを引きずる運動は体のエネルギー代謝への効果的な刺激になり、神経と筋肉の働きは3時間以内に回復すると結論しています。
この研究が測ったのは1回の練習の反応で、続けたときの効果ではありません。対象は男性11人で、女性や運動を始めたばかりの人のデータはありません。ソリの持ち方や床の種類は、抄録に書かれていません。
ソリを引いて後ろ向きに走る練習を8週間続けると走りとジャンプが伸びた
続けたときの効果を調べた研究もあります。2021年に同じ学術誌に載った研究で、13〜15歳の男子115人を3つの群に分けています。
- ソリを引いて後ろ向きに走る群(46人)
- ソリを引いて前向きに走る群(34人)
- 通常の体育の授業だけを受ける群(35人)
ソリを引く2つの群は、週2回・8週間の練習を続けました。ソリの重さは体重の20〜55%で、少しずつ重くしています。測ったのは、10m走と20m走のタイム、垂直跳びの高さ、脚のばねの硬さの4項目です。
- 後ろ向きの群は、4項目すべてが伸びました
- 前向きの群は、10m走を除く3項目が伸びました
- 体育の授業だけの群は、どの項目も変わりませんでした
- ソリを引いた2つの群のあいだに、統計的な差はありませんでした
著者は、後ろ向きにソリを引く練習は走りを伸ばす手段になりうるとし、引く向きにかかわらず、ジャンプの高さと脚のばねの硬さを伸ばすのに役立つとしています。
この研究は、後ろ向きに走ってソリを引く練習を調べたものです。対象は13〜15歳の男子で、大人や女性に同じ結果が出るかは分かりません。背中・腕・握力は測っていません。
HYROXの模擬レースではスレッドプルに2分35秒かかった
HYROXの形のスレッドプルを実際に行って時間を測った研究は、1つあります。ミュンヘン連邦軍大学の研究者が2025年に発表したもので、趣味としてHYROXに取り組む経験者11人(男性8人・女性3人)が、オープン部門の重さで模擬レースを行いました。スレッドプルは女性が78kg、男性が103kgです。
スレッドプルにかかった時間は、中央値で155秒(2分35秒)でした。8種目のうち、スレッドプッシュの128秒に次いで短い時間です。論文の本文は、短い順にスレッドプッシュ2.1分、スレッドプル2.6分、ファーマーズキャリー2.7分としていて、3番目との差はわずかです。著者は、最も重い重さを扱う2種目でも中央値で2〜3分かかることから、長く力を出し続ける必要があり、嫌気性解糖が大きな役割を果たすと考察しています。嫌気性解糖は、酸素を使わずに糖からエネルギーを作る仕組みです。
種目全体で見ると、心拍数・血中乳酸・主観的なきつさは、ランの区間より8種目の区間のほうが高くなりました。スレッドプルだけを取り出した値は報告されていません。
この155秒は、大会での目安にはなりません。参加者は1人ずつジムで行っていて、著者は、使ったソリが公式大会のものと違うことを研究の限界に挙げています。日本の大会での区間タイムは、先ほどの種目ページにあります。
背中の筋肉が大きくなる・握力が上がる効果は確かめられていない
編集部は、2026年10月9日にPubMedで、ソリを引く運動・ロープを引く運動・筋電図にあたる英語の語を組み合わせて研究を探しました。HYROXの形のスレッドプルで筋肉の活動を測った研究や、続けたときの筋肉の大きさ・握力・持久力の変化を測った研究は、見つかりませんでした。
背中の筋肉については、引く運動全般を扱った文献レビューがあります。2026年に学術誌 Journal of Functional Morphology and Kinesiology に載ったもので、ラットプルダウン・シーテッドロー・懸垂などで広背筋の筋電図を調べた研究23本をまとめています。スレッドプルは対象に入っていません。著者は、まとめた結果は1回の運動での筋肉の活動の大きさであって、長く続けたときの効果ではないと断っています。
握力については、先ほどの模擬レースの研究が、握力計で測った握力と完走タイムの関係を調べています。11人の結果では、握力と完走タイムのあいだに相関は見られませんでした。スレッドプルの練習で握力が上がるかを調べた研究ではありません。
「sled pull」という名前の研究は、ほかに2件確かめました。2010年の研究は、ソリを引いて前に走る形を調べたものです。6人が171.2kgのソリを25m引き、短距離走の加速のときに近い動きだったと報告しています。2019年のレビューは、重い物を運ぶ・引く・持ち上げる種目で競うストロングマン競技の研究11本をまとめたもので、その中でヘビースレッドプルを扱っています。速い選手ほど歩幅が大きく、足の運びが速かったというまとめです。どちらも足を運んでソリを引く形で、立ったままロープを手繰り寄せるスレッドプルとは別の動きなので、この記事では効果に数えていません。
脂肪が減る、カロリー消費が増えるといった効果も、確かめられる研究が見つからなかったので扱っていません。
HYROXのスレッドプルの重さと距離
HYROXのスレッドプルは、8種目のうち3番目の種目です。12.5mのレーンを4本、合計50m引きます。距離はどの部門も同じで、重さはソリ本体を含めて3段階あります(2026/27シーズンのルールブック)。
部門 | 重さ(ソリ込み) | 距離 |
|---|---|---|
女子(シングルス・ダブルス・リレー) | 78kg | 50m |
男子(シングルス・ダブルス・リレー) | 103kg | 50m |
女子プロ(シングルス・ダブルス) | 103kg | 50m |
ミックスダブルス | 103kg(女性が引くときも同じ) | 50m |
男子プロ(シングルス・ダブルス) | 153kg | 50m |
ミックスダブルスは男子と同じ103kgで、女性が引く区間も重さは変わりません。全種目の重さはHYROXの重量一覧にあります。
プロ部門の上位100件の記録でのスレッドプルの時間
大会でスレッドプルにどのくらい時間がかかるかは、上位選手の記録を分析した論文に数字があります。プロ部門の各シーズンの上位100件の記録を見ると、2024/25シーズンのスレッドプルの平均は、女子(103kg)が3分58秒、男子(153kg)が3分27秒でした。最初のシーズンは女子が5分37秒、男子が4分25秒だったので、女子は1分39秒、男子は58秒短くなっています。
上位100件は、選手100人ではなく記録100件で、同じ選手の記録が複数入ることがあります。シーズンによって出場者も大会の数も違います。最初のシーズンのソリが今と同じ重さだったかは、この論文には書かれていません。短くなった分が、そのまま選手の力の伸びを表すとは言えません。
この論文によると、シーズンを通じて記録が最も大きく縮んだのはランです。8種目の中では、ローイングとスキーエルゴの縮み方が小さく、スレッドプルなど筋力が関わる種目のほうが大きく縮みました。完走タイムが遅い選手ほど、種目での遅れが完走タイムを大きく延ばす傾向もあり、この傾向は筋力が関わる種目で最も強かったとしています。プロ部門の記録を分析した結果で、初めて出る人にそのまま当てはまるものではありません。どのくらいの筋力が要るかはHYROXに必要な筋力で扱っています。
引くのに要る力はソリの重さと同じではない
ソリを引くのに要る力を、機械で引いて測った研究があります。この研究の条件では、要る力はソリの重さそのものより小さく、床との摩擦の大きさで決まっていました。
2013年に学術誌 Journal of Strength and Conditioning Research に載った研究は、44.8kg・90.0kg・136.2kgの3通りのソリにナイロンのひもをつなぎ、巻き上げ機で一定の速さで引いて、要る力を測りました。摩擦の大きさを表す摩擦係数は、ソリが動き出すときが0.43、動いている間が0.33でした。この研究の条件では、動き出すときにソリの重さの約43%、動いている間は約33%にあたる力が要った計算です。
この研究では、動き出すときのほうが、動いている間より大きな力が要りました。人がロープで引くときの角度や引き方による違いは、抄録には書かれていません。
摩擦係数は、この研究のソリと床での値です。HYROXの会場の床やソリでは違う値になるので、大会で要る力をここから計算することはできません。
スレッドプルで腰にかかる力と引くときの姿勢
ソリを引く運動で腰にかかる力を調べた研究があります。2012年に学術誌 Journal of Sports Sciences に載った研究で、男性9人がソリを引いて歩きました。進む向き(前・後ろ・横)、脚の姿勢(膝を曲げる・伸ばす)、3段階の重さを組み合わせ、体幹と太ももの8か所の筋電図から、腰の骨にかかる力を計算しています。
腰にかかる力は、進む向き・脚の姿勢・重さによって変わりました。ソリを引く条件では、重さを変えると測った値もそれに応じて変わっています。腰の骨を押しつぶす向きの力は、最も大きかった条件で4,378Nでした。著者は、股関節まわりを鍛える運動を取り入れる前に、隣の関節にかかる負担と利点を比べるべきだとしています。
この研究が測ったのは、ソリを引いて歩く運動です。HYROXのスレッドプルの引き方や重さで腰にどのくらいの力がかかるかは、この研究からは分かりません。
姿勢については、Hybrid Athlete Clubが、デッドリフトに似た構えを勧めています。足を腰の真下に置き、背骨をまっすぐに保つ構えです。PureGymも、背中を平らに保ち、体幹を締めるよう書いています。PureGymが気をつける点として挙げているのは、次の5つです。
- 腰を守るために、動きのあいだ体幹を締め続ける
- 背中を平らに保ち、丸めない
- 形が崩れるほど速く引かない
- 勢いに頼らずに引く
- 重い重さから練習を始めない
HYROXの大会では、スレッドプルのあいだ常に立った姿勢を保つ必要があります。ルールブックは、座った姿勢や膝をついた姿勢で引くことを認めていません。海外のトレーニングガイドには、床に座ってロープを引く方法を紹介しているものがありますが、大会では使えない引き方です。
腰を含めたケガの予防はHYROXで多いケガと予防にまとめています。
スレッドプルの練習の頻度と重さの目安
練習の頻度と重さについて、トレーニングガイドと研究にある数字を表にまとめました。研究の2行は、スレッドプルとは別の運動の条件です。
項目 | 目安 | 出どころ |
|---|---|---|
スレッドプルの練習 | 週1〜2回から始める | PureGym |
補助の種目 | 週2〜3回 | PureGym |
重さ | 軽い重さで技術を固めてから増やす。本番の重さへは時間をかけて近づける | PureGym |
研究で走りとジャンプが伸びた条件(ソリを引いて後ろ向きに走る練習) | 週2回を8週間。重さは体重の20〜55% | 13〜15歳の男子の研究 |
研究で血中乳酸が大きく上がった練習(ソリを後ろ向きに全力で引きずる練習) | 体重の75%のソリを20m、2本で1セットを5セット | 男性11人の研究 |
何kgから始めるかを数字で示した資料は、確かめた範囲にはありませんでした。PureGymは、毎回本番の重さで引く必要は無いとしています。技術の練習には軽い重さ、筋力をつける練習には重い重さと、目的で変える考え方です。軽い重さで速く引く練習と、重い重さで引く練習の両方を行うことも勧めています。
HYROXに出る人に向けては、PureGymが、疲れた状態でもスレッドプルを練習しておくよう勧めています。Gymsharkも、スレッドプルはスレッドプッシュより軽いものの、スレッドプッシュと3kmのランのあとに来るので、より疲れた状態で行うことになるとしています。
PureGymは、スレッドプルを良くする補助の種目を10個挙げています。握力・上半身・下半身の筋力は、別々の練習日に鍛えるよう勧めています。
種目 | PureGymが挙げるねらい |
|---|---|
ベントオーバーロー | 引く力をつける |
ケーブルプル | 引く動きをまねる |
フェイスプル | 背中の上部と肩の後ろを鍛える |
デッドリフト | 体の背面の力をつける |
ルーマニアンデッドリフト | 股関節から体を折る動きを良くする |
ウォーキングランジ | 後ろへ歩いて下がる引き方のための脚の力をつける |
ファーマーズウォーク | 握り続ける力を伸ばす |
プランク | 体幹の安定を強くする |
ニーレイズ | 体幹を強くする |
軽い重さのスレッドプル | 技術を磨く |
スレッドが無いジムでの練習はスレッドプルの代用トレーニングに、ほかの種目も含めたメニューは普通のジムでできるHYROXの練習メニューにまとめています。女性が78kgや103kgに向けて筋力をつける方法は女性のためのHYROXの筋力練習に、重りを持って運ぶ種目の効果はファーマーズキャリーの効果にあります。ソリを押す種目の効果はスレッドプッシュの効果と使う筋肉にあります。
KEY TAKEAWAYS
- スレッドプルで主に使うのは、背中・上腕二頭筋・前腕(握る力)・体幹と、お尻・太ももです。トレーニングガイドの説明では、後ろへ歩いて下がる引き方は脚の力と体重を使い、その場で手繰る引き方は上腕二頭筋と握る力に頼ります
- 後ろ向きにソリを引きずる練習を1回行った研究(男性11人)では、血中乳酸が1.7mmol/Lから12.4mmol/Lまで上がり、跳ぶ力は直後に約22%下がりました。跳ぶ力は3時間後には戻り、筋肉の損傷の指標は変わりませんでした。1回の練習で起きる反応で、続けたときの効果ではありません
- 13〜15歳の男子が、後ろ向きに走ってソリを引く練習を週2回・8週間続けた研究では、10m走・20m走のタイムとジャンプの高さが伸びました
- HYROXの形のスレッドプルで、背中の筋肉が大きくなる、握力が上がるといった効果を確かめた研究は見つかっていません
- HYROXでは50mを引きます。重さはソリ込みで、女子が78kg、男子・女子プロ・ミックスダブルスが103kg、男子プロが153kgです
- 練習の頻度の目安は週1〜2回からです(PureGym)。軽い重さで技術を固めてから重さを増やし、背中を平らに保って体幹を締めて引きます
NEWSLETTER
HYROXの情報を続けて知りたい方へ
練習や大会の新しい記事・最新情報をメールでお届けします。登録はメールアドレスだけで、いつでも停止できます。
ご登録の前にプライバシーポリシーをご確認ください。