トレーニング · 6 MIN READ
HYROXをペアで練習するメニュー|ダブルス・ミックスの合わせ方
HYROXのダブルス・ミックスダブルスに出る2人向けに、公式ルールブックが定める「2人でどう動くか」を、走り込みとは別の練習メニューに落とし込みました。ペース合わせ、器具の共有、種目ごとの受け渡し、休む姿勢、練習で使う重さまで整理しています。

HYROX(ハイロックス)のダブルス・ミックスダブルスに出るなら、1人での走り込みや種目練習だけでは足りません。公式ルールブックには「2人でどう動くか」を定めた条文があり、そこには練習で体に入れておくべき動きが具体的に書かれています。
ランはどちらか一方が先に行くとペナルティになり、種目もそろって入りそろって出る必要があります。種目の実行中は「You Go I Go」方式で自由に交代できますが、種目ごとに受け渡しの型が決まっているものもあります。
この記事では、HYROX公式のダブルスルールブック(2026/27シーズン版)から、走るペースの合わせ方、1台の器具を交代する練習、種目ごとの受け渡しの型、休んでいる間の姿勢、練習で使う重さの決め方を整理します。ルール全般の解説は兄弟記事「HYROXダブルスのルールと分担」、重量の詳細比較は「HYROXのミックスダブルス」で扱っているため、本記事は「練習として何をすべきか」に絞ります。
ペアの練習は、個人の走り込みだけでは足りない
シングルスの練習ガイドは、走力と各種目の技術を1人で高めることを前提に書かれています。ダブルス・ミックスダブルスでも走力と技術は同じように必要ですが、それに加えて2人でしか練習できないことがあります。
- 2人そろって走るペース感覚
- 1台のソリ・1台のマシンを交代しながら使う感覚
- 種目ごとに決まっている受け渡しの型
- 休んでいる間の姿勢
これらは公式ルールが「そろって動く場面」「自由に交代してよい場面」を分けて定めているために生まれる練習項目で、1人での練習では身につきません。以下、種目の合間の1kmランのあとに1種目を行い、これを8回繰り返す(ラン合計8km・8種目)というダブルスのレース構成に沿って、練習の内容を整理します。
走るペースを2人で合わせる練習をする
種目の間の1kmは、2人そろって走ることが求められます。一方が先に行くと1分のペナルティが加算され、この反則が3回を超えると失格ではなく「Out Of Competition」という扱いになり、そもそもランキングが付きません。
体力差があるペアほど、この規定は本番で効いてきます。練習のランは基本的に遅い方のペースに合わせて2人そろって走ることを前提にし、速い方が余力を残す走り方に慣れておく必要があります。「1人なら出せるペース」で走る練習だけを続けていると、本番で初めて合わせることになります。
1台の器具を交代しながら使う練習をする

ダブルスのスレッドプッシュ・スレッドプルは、ペアに1本のレーンとソリが割り当てられ、それを必ず使います。距離は50mで、これはシングルスと同じ距離です。2人で1台のソリを交代しながら押す・引く感覚は、実際に共有してみないと分かりません。多くのジムでは練習時に1人1台のソリを使ってしまいがちですが、本番の条件に近づけるなら1台を2人で交代する形で練習する価値があります。
スキーエルグ・ローイングも同様に、ペアで1台のマシンを交代しながら使います。ダンパー設定を変更できるのは稼働中の選手だけなので、自分の番が来たら自分の設定にすぐ変える練習をしておくと、交代のたびに迷いません。休んでいる選手は所定のエリアに留まり、稼働中の選手からハンドルを直接受け渡されることもできません。ローイングも、ハンドルの受け渡しやダンパー・フットストラップの代理調整は認められていません。
スレッドプッシュ・スレッドプルの技術そのものはHYROXのスレッドプッシュで詳しく扱っています。ジムにソリが無い場合の代用練習はスレッドプッシュの代用トレーニングを参照してください。ペアで練習できるソリのあるジムを探す場合は東京でHYROXの練習ができるジムも参考になります。
なお、スレッドプルとファーマーズキャリーは大会が用意したチョークの使用が認められています。握力対策のチョーク練習は、この2種目に絞って行えば十分です。
種目ごとに、受け渡しの型を体に覚えさせる
「自由に交代してよい」といっても、種目によって受け渡しの動作そのものに決まりがあるものがあります。ルールで決まっている動作は、練習で反復して体に入れておくと、本番でロスなく交代できます。
- ファーマーズキャリー: ケトルベルを交代するとき、前方へ受け渡すことは禁止です(横または後方への受け渡しは認められています)。合計200mを2人で分け合いますが、練習では「前に渡さない」受け渡しの動きだけを繰り返す時間を作る価値があります
- バーピーブロードジャンプ: 交代するとき、休んでいた人は稼働していた人の両足が着地した位置につま先とそろえて両手を置いてから始めます。守らないと反則になるため、着地位置に手を置く動作をペアで反復しておく必要があります
- スレッドプル: 休んでいる人はロープの操作を手や足で手伝ってはいけません。ボックスのラインを踏まなければ声や動作での指示は認められているので、伝え方を決めて練習しておくと、とっさにロープへ手が伸びるのを防げます
- ローイング: スレッドプルと同じく、休んでいる人がハンドルの受け渡しやダンパー・フットストラップの調整を代わりにすることはできません
休んでいる間の姿勢を、練習から徹底する
休んでいる人は立ったままでいる必要があります。膝をつく・座る・寝るなど体の一部が床につく姿勢は認められません。また、ステーションの区域内にとどまり、他の選手を妨げてはいけません。
特にウォールボールは、休んでいる人がラックの下の所定エリアを外れている間、ノーレップ(無効レップ)が続く扱いになります。合計100レップを2人で分け合う種目のため、待機位置を外れる癖がついていると、気づかないうちにレップが無効になり続けます。練習のときから、自分の待機位置を毎回同じ場所に決めておくと本番でも迷いません。
ウォールボールはもう1点、ミックスダブルスで注意することがあります。的の高さはチームの部門ではなく投げる本人の性別で決まるため、ミックスの2人は的の高さが異なります(女性2.70m・男性3.00m)。的が1つしかない設備では、練習中に2人分の高さを試すことができません。ミックスで出るペアは、2つの高さに対応できる設備で練習しておく必要があります。
練習で使う重さは、1人用の区分と同じにする

「2人で分担するなら、1人あたりの重さは軽くなるはず」と考えがちですが、そうではありません。ファーマーズキャリーのケトルベルは女子シングルスも女子ダブルスも1本16kg、サンドバッグランジのサンドバッグも女子シングルスも女子ダブルスも10kgで、重さは変わりません。変わるのは、200m・100mという合計距離を2人で分け合える点だけです。
同じことはスレッドプッシュ・スレッドプル・ウォールボールにも言えます。これらの種目は合計の距離・回数・重さが同じ区分の1人用(シングルス)とまったく同じで、ダブルスになっても軽くなりません。練習で使う重さは、自分の部門(女子・男子)のシングルスの重さをそのまま使えば、本番の負荷に近づきます。
ミックスダブルスの重さは、女子ダブルスの区分ではなく、女子プロ・男子ダブルス(オープン)・ミックスの3区分が共有する重い方の区分に入ります。女性が軽い重さを担当するわけではないため、ミックスで出る女性は自分の部門の重さだけで練習量を決めると、本番で重さが合わない可能性があります。重量表の詳しい比較は兄弟記事「HYROXのミックスダブルス」を参照してください。
本番と同じ構成で、通し練習をする
ここまでの練習項目(ペース合わせ・器具の共有・受け渡しの型・待機の姿勢・重さ)は、それぞれ個別に反復するだけでなく、レース本番と同じ構成、つまり1kmのランのあとに1種目を行い、これを8回繰り返す構成で、一度通して試しておく価値があります。
短い距離・回数に減らした簡易版でよいので、8種目を順番どおりに一通り動いてみると、個別練習では気づかなかった交代のタイミングのずれや、待機位置の確認漏れが見つかります。本番直前ではなく、練習の早い段階で一度通しておくと、修正する時間が残ります。
KEY TAKEAWAYS
- ダブルス・ミックスダブルスの練習は、個人の走り込みや種目練習だけでは足りない。「2人でどう動くか」を定めた公式ルールから、練習項目が具体的に導ける
- ラン(2人そろって走る・遅い方のペースに合わせる)と1台の器具の共有(スレッドプッシュ・スレッドプル・スキーエルグ・ローイング)は、個人練習にはない項目になる
- 種目ごとの受け渡しにも決まりがある(ファーマーズキャリーは前方へ渡さない・バーピーブロードジャンプは着地位置に手を置く)
- 休んでいる間は立ったままで待つ。特にウォールボールは待機エリアを外れるとノーレップが続くため、待機位置を練習から固定しておく
- 2人で分担しても、種目の重さは軽くならない(女子シングルスと女子ダブルスは同じ重さ)。ミックスダブルスは女子プロ・男子ダブルス(オープン)と同じ、重い方の区分を使う
- 個別の練習項目を反復したら、本番と同じ8種目の構成で通し練習を一度は行う
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