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トレーニング · 19 MIN READ

HYROXのランニング練習メニュー|インターバル・テンポ走・ロングランの距離と本数の目安

HYROX(ハイロックス)のランニングの練習は、楽なラン・ロングラン・テンポ走・インターバルを組み合わせます。目安は、楽なラン30〜60分、ロングラン60〜90分、テンポ走20〜30分、インターバルは400m×8本か1km×5〜6本を週1回です。海外のトレーニングガイド9社のメニューから、種類ごとの距離・本数・強さ・休みを表にまとめ、1kmの目標ペースの出し方と、経験別に週に何回走るかを並べました。

HYROXのランニング練習メニュー|インターバル・テンポ走・ロングランの距離と本数の目安

HYROX(ハイロックス)のランニングの練習は、楽なラン、ロングラン、テンポ走、インターバルの4種類を組み合わせます。目安は、会話が続けられる強さの楽なランが30〜60分、ロングランが60〜90分、テンポ走が20〜30分です。インターバルは週1回で、本番で狙う1kmのペースで走る形なら400m×8本か1km×5〜6本です。週のランの6〜8割は楽な強さで走ります。

この数字は、海外のトレーニングガイド9社が挙げるメニューから、複数の社に共通する形を取り出したものです。HYROXの公式サイトとルールブックは、ランの練習メニューを決めていません。この記事では、練習の種類ごとの距離・本数・強さ・休みを表にまとめ、1kmの目標ペースの出し方と、経験別に週に何回走るかを並べます。

根拠にしたのは、海外のトレーニングガイド9社(2026年9月下旬から10月上旬に取得した本文)、研究の抄録3本(PubMed、2026年10月6日確認)、HYROXの公式サイトとルールブック(2026/27シーズン)です。研究はどれも一般の持久系の練習を調べたもので、HYROXのタイムが縮むかを確かめたものではありません。

01

HYROXのランの練習の種類と距離・本数・強さ・休みの早見表

HYROXのレースでは、1kmのランを8回、合計8km走ります。1本目のほかの7本は、種目を終えた直後に走ります。そのため、ランの練習には、ランだけで行う練習と、種目のあとに走る練習があります。

トレーニングガイドが挙げる練習は、種類ごとに次の表のとおりです。

練習の種類

1回の量

強さの目安

途中の休み

頻度

楽なラン(イージーラン)

30〜60分

会話が続けられる強さ(最大心拍数の60〜70%)

なし

週2〜3回

ロングラン

60〜90分

会話が続けられる強さ

なし

週1回

テンポ走

20〜30分

約1時間続けられるいちばん速いペース(しきい値ペース)

分けるときは間に2分のジョグ

週1回

目標ペースのインターバル

400m×8本、または1km×5〜6本

本番で狙う1kmのペース(RunDidaの400m×8本は、3〜5kmを走るときの力感)

400mは200mのジョグ(RunDidaは75秒)、1kmは90秒

週1回

高強度のインターバル

3〜4分×4〜8本

最大心拍数の90〜95%

2〜3分の楽なジョグ

週1回

坂道のインターバル

800mの上り×6本

きついが抑えのきく速さ

下りをジョグで戻る

週1回(インターバル1回分と入れ替える)

種目のあとのラン(コンプロマイズドラン)

種目の直後に1km。これを4ラウンドなど

本番で狙うペース

ガイドによって違う

週1回前後

表の数字は、複数の社に共通する範囲か、その練習を挙げている社の数字です。インターバルの3つの行(目標ペース・高強度・坂道)は、それぞれを挙げるガイドが週1回としているものです。3つを同じ週に入れる例は、今回読んだガイドには見当たりませんでした。HyroxDataLabは、インターバルを週2回にしてよいのは、持久系の練習を5年以上続けている上級者だけだとしています(同サイトの経験別の表は「上級」を3年以上としていて、それより長い別の基準です)。

HYROXの公式サイトとルールブックは、インターバルの本数・速さ・休みといった練習メニューを決めていません。公式サイトが書いているのは、1kmのランを8本走るというレースの形と、入りを抑えてペース配分を守るという考え方までです。練習プログラムとしてはHYROX365や、提携するアプリ(Centr・Runnaなど)を紹介していて、メニューの中身はそれぞれの会社のものです。

種目のあとに走る練習は、組み方の比較をHYROXのコンプロマイズドランにまとめています。この記事では、ランだけで行う練習を扱います。

02

ランの強さは話せる量と心拍数で確かめる

HYROXのランの練習の強さを、走りながら話せる量で3段階に分けたカード図。話せる量と心拍数の目安はHyroxDataLabのもの。会話が続けられる強さ(最大心拍数の60〜70%)は楽なラン30〜60分とロングラン60〜90分、短い文なら話せる強さ(75〜85%)はテンポ走20〜30分で初めての人は10分×2本に分ける、1〜2語が限度の強さ(90〜95%)は高強度のインターバル3〜4分×4〜8本で間は2〜3分の楽なジョグ。目標ペースのインターバルは1kmのペースで決める
出典:HyroxDataLab、Hybrid Pro Coach、Hyrox Vault のトレーニングガイド(2026年9〜10月に取得した本文)。語数は英語での目安

トレーニングガイドは、楽なランやテンポ走の速さを、1kmあたりのペースでは指定していません。強さは、心拍数か、走りながら話せる量で示しています。HyroxDataLabが挙げる目安は次のとおりです。

  • 会話が続けられる: 楽なランとロングランの強さです。最大心拍数の60〜70%にあたります
  • 短い文(3〜5語)なら話せる: テンポ走の強さです。最大心拍数の75〜85%にあたります
  • 1〜2語が限度: 高強度のインターバルの強さです。最大心拍数の90〜95%にあたります

語数は英語での目安です。Centrも同じ考え方で、ゾーン2(最大心拍数の60〜70%)は会話ができる、ゾーン3(70〜80%)は短い文でしか話せない、ゾーン4(80〜90%)は数語だけ、と説明しています。HyroxDataLabは、楽なランを速く走りすぎるのがよくある失敗だとし、会話が続けられないなら速度を落とすよう書いています。心拍計が無くても、この方法で強さを確かめられます。

最大心拍数の目安として一般的に使われる式は「220-年齢」です。HyroxDataLabはこの式を大まかな見積もりだとしています。Hyrox Vaultは、実際の最大心拍数が式の値より高い人では、ゾーン2のつもりの強さが実際にはゾーン3になると注意しています。心拍数で強さを決める人も、話せる量とあわせて確かめると、ずれに気づけます。心拍数の使い方はHYROXの練習と本番で心拍数をどう使うかにまとめています。

目標ペースのインターバル(400m×8本、1km×5〜6本など)だけは、話せる量ではなく1kmのペースで決めます。ペースの出し方は「インターバルで使う1kmの目標ペースの決め方」の節で扱います。

03

楽なランは30〜60分、ロングランは60〜90分が目安

楽なランとロングランは、どちらも会話が続けられる強さで、止まらずに走ります。違いは長さです。

ガイド

楽なラン

ロングラン

Hybrid Pro Coach

30〜60分を週2〜3回

挙げていない

Hyrox Vault

45〜60分

60〜90分、または90〜120分

HyroxDataLab

休みの日に走るなら20〜30分のごく楽なジョグ

60〜90分

Find Your Edge

30〜40分

1〜4週目は45〜60分、5〜8週目は60〜75分

RunDida

7km(8・9週目は8km、回復の日は4km)

12km(8・9週目は16km)

Centr

短く走り、距離は決めない

時間の指定なし(強さはゾーン2〜3)

時間で示しているガイドの数字は、楽なランが30〜60分、ロングランが60〜90分の前後に集まっています。Hyrox Vaultの90〜120分は、週に50〜70km走る6日の例に出てくる数字で、練習量の多い人向けです。RunDidaの距離は、フルマラソンを3時間30分〜4時間30分で走るランナー向けのプランのものです。

ロングランは、最初から60分走れなくてもかまいません。HyroxDataLabは、90分走れない人は今走れる長さ(例として40分)から始め、2〜3週間ごとに5〜10分ずつ足すよう勧めています。同サイトの目安では、初出場の人や、持久系の練習を始めて1年未満の人のロングランは40〜60分です。上限は90分で、理由はマラソンの練習ではないからだと説明しています。

楽なランの終わり方について、Hyrox Vaultのワークアウト集は、「あと15分続けられる」と感じるくらいを目安にしています。主観のきつさは10段階の3〜4です。

楽な強さのランは、週のランの大半を占めます。Hybrid Pro Coachは週のランの量の60〜70%、Hyrox VaultとHyroxDataLabは練習の量の80%を、楽な強さにあてるよう勧めています。Hyrox Vaultは、毎回きつく練習して疲れをためることを、アマチュアのいちばん大きな練習の失敗に挙げています。

04

テンポ走は20〜30分、インターバルは週1回が目安

テンポ走はしきい値のペースで20〜30分走る

テンポ走は、楽なランより速いペースを保って走る練習です。Hybrid Pro Coachは、およそ1時間続けられるいちばん速いペース(しきい値ペース)で20〜30分走る形を挙げています。

ガイド

速く走る時間

強さの示し方

前後のランと分け方

Hybrid Pro Coach

20〜30分

約1時間続けられるいちばん速いペース

続けて走るか、2〜3本に分けて間に2分のジョグ。週1回

HyroxDataLab

20〜40分

最大心拍数の75〜85%

前後に10分ずつ楽なラン。1〜4週目は20分、5〜8週目は25〜30分、9〜12週目は30〜40分

Hyrox Vault

20分

力感が10段階の7

前後に10〜15分ずつ楽なラン。初めての人は10分×2本に分け、間に2分の楽なジョグ

Find Your Edge

15〜20分

しきい値ペース

前に20分の楽なラン、後に10分のクールダウン

RunDida

10分×3本(9週目は10分×4本)

数字の指定なし

指定なし

5社とも、1kmあたりのペースは指定していません。Hyrox Vaultは、走り終えたときに「5分の区間をもう1本走れた」と思えるくらいを目安にしています。

テンポ走の強さは、社によって差があります。HyroxDataLabは最大心拍数の75〜85%としています。Hyrox Vaultの心拍ゾーンの記事は、最大心拍数の75%前後(ゾーン3)を、有酸素の土台もしきい値も伸びない強さとして避けるよう勧めています。同じ記事は、しきい値の練習をゾーン4に置き、目標ペースの1km×5〜6本では心拍数が最大の85〜90%に届くとしています。

「テンポ走」という呼び名は、ガイドによって指す練習が違います。Hyrox Vaultの心拍ゾーンの記事は、目標ペースで1km×5本を走る練習を、週の例では「テンポ走」、練習の説明では「しきい値インターバル」と呼んでいます。この記事では、しきい値の強さで10分以上の区間を走る練習をテンポ走、1km以下か4分以下の区間を休みを挟んで繰り返す練習をインターバルと呼び分けています。

インターバルは距離で区切る形と時間で区切る形の2つ

インターバルは、速く走る区間と休みを交互に繰り返す練習です。ガイドが挙げるメニューは、距離で区切る形と、時間で区切って心拍数を最大近くまで上げる形に分かれます。距離で区切る形の走る速さは、本番で狙う1kmのペース、5kmのレースペース、3〜5kmを走るときの力感など、社によって違います。

距離で区切る形は次のとおりです。速く走る距離の合計が短い順に並べました。

ガイド

メニュー

走る速さ

本数の間の休み

速く走る距離の合計

Centr

400m×6本(例)

高い強度

軽い回復

2.4km

Hybrid Pro Coach

400m×8本

本番で狙う1kmのペース

200mのジョグ

3.2km

RunDida

400m×8本

3〜5kmを走るときの力感

75秒

3.2km

Hyrox Vault(2回目向けの記事)

800m×4本

5kmのレースペースか、それより速く

指定なし

3.2km

RunDida

1000m×5本

5〜10kmを走るときの力感

90秒のジョグ

5km

Hyrox Vault(心拍ゾーンの記事)

1km×5〜6本

HYROXの目標ペース

90秒

5〜6km

Find Your Edge

1km×6本

目標のレースペース

90秒

6km

Hyrox Vault(ワークアウト集)

1km×8本

1〜3本目は5kmのレースペース、4〜6本目はそれより1kmあたり10秒遅く、7〜8本目は続けられる最大の力

90秒

8km

時間で区切る形は次の2つです。

ガイド

メニュー

強さ

本数の間の休み

前後のラン

HyroxDataLab

3〜4分×4〜8本

最大心拍数の90〜95%

2〜3分の楽なジョグ

前に10〜15分の楽なランと、20秒の加速を4〜6本

Hyrox Vault(ワークアウト集)

4分×4本

最大心拍数の90〜95%

3分の楽なジョグ

前に10分の楽なランと20秒の加速を3本、後に8〜10分の楽なラン

1kmを繰り返すメニューの休みは、4件とも90秒です。Hyrox Vaultは、この90秒を、種目へ移る時間を模したものと説明しています。400m×8本は2社が挙げていて、休みは200mのジョグか75秒です。

本番で狙うペースで走る形は、全力で走る練習ではありません。Hybrid Pro Coachは、400m×8本について、1本ごとに全力で走るのではなく、全部の本数を同じペースでそろえることが目的だと書いています。高強度の形について、Hyrox Vaultは、4分×4本を全力疾走ではなく、制御できるきつさで走るとしています。一方でHyroxDataLabは、強さが足りないことをよくある失敗に挙げ、速く走る区間で会話ができるなら強度を上げるよう書いています。

本数は、少ないところから増やします。

  • Hybrid Pro Coachは、400m×8本から始め、体力がついたら同じペースのまま800m×6本(合計4.8km)、1000m×4本(合計4km)へ進めます
  • Hyrox Vaultの4分×4本は、インターバルが初めてなら3本から始めて4本に増やします
  • Hyrox Vaultの1km×8本は、初心者は7〜8本目を楽な1kmに替えます。強度が高いので、多くても週1回です
  • HyroxDataLabは、12週間のうち1〜4週目は3分×4本、5〜8週目は3分×6本、9〜12週目は4分×4〜6本と増やします

どの形を選ぶかについて、Hybrid Pro Coachは、本番で狙う1kmのペースで走る400m×8本を、最もHYROXに近いインターバルとしています。Hyrox Vaultのワークアウト集は、定期的に繰り返す力試しのメニューの一覧で、短い休みを挟む1km×8本を、HYROXのランの練習の定番と紹介しています。距離で区切る形と時間で区切る形を並べて比べた記述は、今回読んだガイドには見当たりませんでした。ここからは編集部の整理です。本番で狙うペースで走るメニュー(Hybrid Pro Coachの400m×8本、Hyrox Vaultの1km×5〜6本、Find Your Edgeの1km×6本)は、本番のペースを覚え、8本を同じペースでそろえるための練習です。時間で区切る形のうち4分×4本は、後の節で紹介する研究で使われた組み方と同じ形です。RunDidaの12週間は、速いランを週1回とし、1000m×5本、400m×8本、テンポ走を週ごとに入れ替えています。1つに決めずに、週ごとに入れ替える方法もあります。

場所について、Hybrid Pro Coachはトラックか、平らで距離の分かるコースを勧めています。Hyrox Vaultは、1km×8本をトレッドミルかトラックで行うとしています。トレッドミルで走るときの速度と傾斜はHYROXのラン練習とトレッドミルにまとめています。Garminの時計には、距離か時間で区切ったインターバルワークアウトを作る機能があります(Forerunner 265シリーズの操作マニュアルで確認。設定はGarminでHYROXを計測する設定)。

坂道のインターバルは800mの上りを6本走る

Hybrid Pro Coachは、インターバルと入れ替える練習として、坂道のインターバルを挙げています。800mの上りを、きついが抑えのきく速さで6本走り、下りはジョグで戻ります。週1回で、その週のインターバル1回分と入れ替えます。坂が近くに無ければ、トレッドミルの傾斜を5〜8%にして代わりにできるとしています。

この練習を挙げているのは、今回読んだ中では同社だけです。トレッドミルで同じ効果になるという説明にも、根拠は示されていません。

05

インターバルで使う1kmの目標ペースの決め方

目標ペースのインターバルを走るには、本番で狙う1kmのペースを先に決めます。ガイドが挙げる出し方は3つあり、基準にする記録がそれぞれ違います。3つ目は、本番の最初の1kmの入りの目安として書かれた数字です。

HYROXの目標タイムから決める

Hyrox Vaultのワークアウト集は、HYROXの目標タイムごとに1kmの目標ペースを示しています。

HYROXの目標タイム

1kmの目標ペース

75分未満

4分15秒〜4分30秒

75〜90分

4分45秒〜5分00秒

90〜110分

5分15秒〜5分45秒

初めて完走を目指す人

5分45秒〜6分30秒

この表は、シングルスかダブルスか、オープンかプロか、男女のどれにあたるかを区別していません。部門によって種目の重さが違うので、自分の部門にそのまま当てはまるとは限りません。完走タイムの分布はHYROXの完走タイムの目安にまとめています。

10kmのペースから決める

Hybrid Pro Coachは、今の10kmのペースに約20%を足す方法を挙げています。同社の例では、10kmを1kmあたり4分30秒で走る人は5分24〜30秒、5分00秒で走る人は6分00〜15秒が目標です。HYROXの経験者は15%前後、初めての人は20〜25%を足すよう勧めています。この式で計算すると、次の表になります。

10kmのタイム

10kmの1kmあたりのペース

15%足したペース

20%足したペース

25%足したペース

45分

4分30秒

約5分11秒

5分24秒

約5分38秒

50分

5分00秒

5分45秒

6分00秒

6分15秒

55分

5分30秒

約6分20秒

6分36秒

約6分53秒

60分

6分00秒

6分54秒

7分12秒

7分30秒

65分

6分30秒

約7分29秒

7分48秒

約8分08秒

表は編集部が計算しました。同社は、いちばん大事な決まりとして、最初の3本だけでなく8本すべてで保てるペースを選ぶことを挙げています。

5kmのペースから決める

Hyrox Vaultの2回目向けの記事は、最初の1kmのランを、5kmのレースペースより1kmあたり15〜20秒遅く走るよう勧めています。本番の最初の1kmの入りの目安で、8本すべての目標ペースとして書かれた数字ではありません。5kmを25分(1kmあたり5分00秒)で走る人なら、5分15秒〜5分20秒です。同サイトの1km×8本のインターバルも、5kmのレースペースを基準にしています。

3つの出し方は基準が違い、同じ数字にはならない

3つの出し方は、基準が目標タイム、10km、5kmと違い、どれも1社が示す目安です。同じ人が3つを計算しても、同じペースにはなりません。10kmと5kmから出す方法に共通しているのは、HYROXのランは5kmや10kmを走るときのペースより遅くなるという点です。Rox Lyfeは、多くの人のHYROXでのランのペースは、ハーフマラソンのペースに近いと書いています。

ここからは編集部の提案です。出したペースが自分に合っているかは、練習で確かめられます。400m×8本か1km×5本をそのペースで走り、最後の1本まで同じペースでそろえられるかを見ます。後半に落ちるなら、ペースを遅くします。

本番のペースの決め方はHYROXのペース配分に、完走者が1kmごとに何分で走っているかはHYROXに必要な走力にまとめています。

06

週に何回走るかの目安(経験別)

海外のトレーニングガイド4社の、1週間のうちランを入れる曜日の例。Find Your Edgeの1〜4週目は火曜と土曜の2回でどちらも楽なラン、HyroxDataLabは月曜のロングラン・水曜のテンポ走・金曜のインターバルの3回、RB100は月曜・水曜・金曜・日曜の4回で水曜がしきい値のインターバル、Hyrox Vaultの6日の例は月曜・火曜・木曜・日曜の4回で月曜に1km×5本を走り、土曜に通し練習が入る
出典:Find Your Edge、HyroxDataLab、RB100、Hyrox Vault のトレーニングガイド(2026年9〜10月に取得した本文)

ランの回数は、ガイドによって週2回から週4〜5回まで幅があります。HyroxDataLabは、経験ごとに1週間の目安を分けています。

経験

週のラン

ロングラン

テンポ走

インターバル

種目の練習

初出場、または持久系の練習が1年未満

2〜3回

40〜60分

20分

3分×4本

週2回

HYROXに2〜3回出場、練習歴1〜3年

3〜4回

60〜75分

25〜30分

3〜4分×5〜6本

週2回

表彰台の経験が複数、計画的な練習が3年以上

4〜5回

75〜90分

30〜40分

4分×6〜8本

週2〜3回

ほかのガイドの回数は次のとおりです。

  • Find Your Edge: 週5回の練習のうち、ランは2〜3回です。柱は火曜と土曜の2回で、1〜4週目はどちらも楽なラン、5〜8週目はテンポ走とロングラン、9週目からは1km×6本のインターバルとロングランに替わります。12週目は大会前の調整で、土曜は30分の軽いランだけです
  • Hybrid Athlete Club: ゾーン2のラン、インターバル、目標ペースのラン(しきい値のラン)の3つを週に入れるよう勧めています
  • RunDida: ロングラン1回と速いラン1回を必ず確保し、種目のあとに走る練習を週1回足します。ランと筋力トレーニングの配分は45%と55%です
  • Hyrox Vault(2回目向けの記事): 1回出場した人向けの12週間の例で、ランは週3回以上です。1〜4週目は、45〜60分のロングラン、種目のあとに走る練習、楽なランを1回ずつ入れます。5〜8週目は、インターバルを週1回足します
  • Hyrox Vault(心拍ゾーンの記事): 6日の例では、ランが4回(月曜に1km×5本、火曜に60〜90分、木曜に45分、日曜に90〜120分)で、土曜に通し練習が入ります。週に50〜70km走る人向けです
  • RB100: 月曜に楽なラン、水曜にしきい値のインターバル、金曜にランと種目をつなぐ練習、日曜に長いランを置いています

回数ごとに整理すると、次の形になります。ここは編集部の整理です。

  • 週2回: 楽な長めのラン1回と、速いラン1回です。速いランは、Find Your Edgeのように、時期によってテンポ走とインターバルを入れ替えます
  • 週3回: ロングラン、テンポ走、インターバルを1回ずつ入れます(HyroxDataLab)。Hybrid Athlete Clubの3つも、楽なラン1回と速いラン2回という同じ形です
  • 週4回以上: 4回目からは楽なランを足します。Hyrox Vaultの6日の例でも、速いランは月曜の1回だけで、残りの3回は会話が続けられる強さです

速く走る日は、増やしすぎないよう複数のガイドが注意しています。HyroxDataLabは、インターバルを週2回にしてよいのは、持久系の練習を5年以上続けている上級者だけだとしています。上の表の「上級」(計画的な練習が3年以上)より長い、別の基準です。Hyrox Vaultは、きつい練習が週1回を超え、さらに通し練習も入れると、4週間でバーンアウトしやすいと書いています。

速く走る日の前後には、楽な日か休みを置きます。HyroxDataLabの例は、水曜のテンポ走と金曜のインターバルの間の木曜を、休みか20〜30分のごく楽なジョグにしています。日曜は完全な休みです。

HYROXの練習には、ランのほかに種目の練習と筋力トレーニングが入ります。ランの回数は、それらを合わせた週全体の回数の中で決めます。週2回しか練習できない場合の組み方は週2回のHYROXメニューに、12週間の進め方はHYROXの12週間練習メニューに、初出場の人の全体の組み立てはHYROX初出場のための練習の組み立てにまとめています。すでに走る習慣がある人が種目の練習をどう足すかは、ランナーがHYROXに出るにはで扱っています。

07

研究で確かめられていること

インターバルを入れ、残りを楽に走るという組み方は、持久系の練習の研究と方向が合っています。ただし、どの研究もHYROXの参加者を調べたものではありません。抄録(論文の要旨)で確かめられた範囲を示します。

  • Helgerudらの研究(2007年): 中程度に鍛えた健康な男性40人を4つのグループに分け、運動の総量と頻度(週3日・8週間)をそろえて比べました。グループは、ゆっくり長く走る(最大心拍数の70%)、しきい値(乳酸性作業閾値)の強さで走る(85%)、15秒走って15秒は軽く動きながら休むインターバル(走る区間は90〜95%)、4分×4本のインターバル(90〜95%で4分走り、間の3分は70%で動き続ける)です。最大酸素摂取量の増加は、15秒のインターバルが5.5%、4分×4本が7.2%で、ゆっくり長く走るグループとしきい値のグループより有意に大きい結果でした
  • StögglとSperlichの研究(2014年): よく鍛えた持久系の選手48人(ランナー、自転車、トライアスロン、クロスカントリースキー)を、高ボリューム、しきい値、高強度インターバル、それらを組み合わせた「二極化」の4グループに無作為に分け、9週間比べました。最大酸素摂取量の増加は、二極化のグループが最大(+11.7%)でした。抄録は、しきい値と高ボリュームのグループには、それ以上の向上が見られなかったと書いています
  • SeilerとKjerlandの研究(2006年): 国内で競技するジュニアのクロスカントリースキー選手11人の、32日間の練習記録を調べました。心拍数で見ると、持久系の練習の約75%が低い強度、約17%が高い強度で、その間の強度は約8%でした

Hyrox Vaultが挙げる4分×4本(最大心拍数の90〜95%、間に3分の楽なジョグ)は、Helgerudらの研究で使われた組み方と同じ形です。HyroxDataLabの9〜12週目の4分×4〜6本も、これに近い形です。

3つの研究から言えるのは、高強度のインターバルを含む組み方で持久力の指標が伸びたことと、ジュニアの競技者の練習は低い強度が大半だったことまでです。次の点は、抄録からは分かりません。

  • 対象は、中程度に鍛えた男性、よく鍛えた持久系の選手、ジュニアのスキー選手です。HelgerudらとSeilerらの研究の対象は男性だけです。どの研究にも、運動を始めたばかりの人は含まれていません
  • 測ったのは最大酸素摂取量などの持久力の指標で、HYROXのタイムではありません。種目を挟んで1kmを8本走る条件を確かめた研究ではありません
  • 研究の「しきい値」のグループと、ガイドのテンポ走が同じ強さとは限りません。テンポ走が要らないという結論にはなりません
  • 今回確かめたのは抄録だけで、論文の本文は読んでいません

HyroxDataLabはHelgerudらの研究を紹介していますが、同サイトが載せている増加率は、抄録の数字と一致しません。この記事では、研究の数字は抄録から取り、ガイドからはメニューの形だけを使いました。

08

KEY TAKEAWAYS

  • HYROXのランニングの練習は、楽なラン(30〜60分)、ロングラン(60〜90分)、テンポ走(20〜30分)、インターバル(400m×8本か1km×5〜6本)を組み合わせます。公式サイトとルールブックは練習メニューを決めておらず、数字は海外のトレーニングガイドのものです
  • 強さは、話せる量で確かめられます。HyroxDataLabの目安では、楽なランとロングランは会話が続けられる強さ、テンポ走は短い文なら話せる強さ、高強度のインターバルは1〜2語が限度の強さです
  • インターバルは週1回が目安です。1kmを繰り返すメニューの休みは90秒、400m×8本の休みは200mのジョグか75秒です。本番で狙うペースで走る形は、全力ではなく、全部の本数を同じペースでそろえます
  • 1kmの目標ペースの出し方は、HYROXの目標タイムから、10kmのペースに約20%を足す、5kmのペースより15〜20秒遅くする、の3つです。3つ目は、Hyrox Vaultが最初の1kmの入りの目安として挙げる数字です。基準が違うので、同じ数字にはなりません
  • 週の回数は、初出場の人で2〜3回が目安です。3回ならロングラン・テンポ走・インターバルを1回ずつ、4回目からは楽なランを足します
  • 研究の抄録で確かめられるのは、高強度のインターバルを含む組み方で最大酸素摂取量が伸びたことまでです。対象はHYROXの参加者ではなく、HYROXのタイムを測った研究でもありません
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