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ギア · 9 MIN READ

HYROXのシューズの選び方(仕様と用途で比較)

HYROXのルールブックは、レース中は原則つま先の覆われた靴の着用を求めています(ウォールボールだけ例外)。この記事では「おすすめ◯選」のような使用感の順位付けではなく、HYROXの公式パートナーであるPUMAの専用シューズを含め、各社が公式サイトで公表している仕様(重量・ドロップ・価格・アウトソール素材)だけを、種目ごとに求められる条件に沿って並べました。

HYROXのシューズの選び方(仕様と用途で比較)

HYROX(ハイロックス)のルールブックは、レース中は原則としてつま先の覆われた靴の着用を求めています。例外はウォールボールのステーションだけで、ここに到着したときだけ靴を脱いでよいと定められています。

「ハイロックス シューズ おすすめ」で検索すると、使用感を語る「おすすめ◯選」の記事が多く出てきます。この記事では、使っていない製品の体験談やランキングは書きません。HYROXの公式パートナーであるPUMAの専用シューズを含め、各社が公式サイトで公表している仕様(重量・ドロップ・スタックハイト・価格・素材)だけを、種目ごとに求められる条件に沿って並べます。判断の材料にするか、自分の優先順位に当てはめるかは読者側に委ねます。

01

ルールが定めているのは「つま先の覆われた靴」であることだけ

ルールブック(シングルス・ダブルス・リレー共通)は、レース中の靴について次のように定めています。

  • レース中は常に、つま先の覆われた靴を着用しなければならない
  • 例外はウォールボールのステーションのみ。到着したら靴を脱いでよく、100レップを終えたあとは靴を持ってフィニッシュステージへ向かう。ウォールボールのエリアに戻ることはできない

ブランド・モデルについての規定は無く、ここで決まっているのは「つま先が覆われているかどうか」だけです。以下で比較する3モデルはいずれもこの条件を満たします。

02

種目ごとに、靴に求められる条件が違う

HYROXは1kmのランのあとに1種目を行い、これを8回繰り返す構成です(ラン合計8km・8種目)。ラン区間とレジスタンス種目とで、靴に求められる条件は逆方向を向いています。

  • ラン(合計8km): 反発性とクッション、軽さが効いてくる区間です。ミッドソールが柔らかく厚いほど走りやすくなりますが、その分ヒールが高くなり、足元は不安定になりやすくなります
  • スレッドプッシュ・スレッドプル: HYROX公式サイトの種目紹介自体が、スレッドプッシュについて「大会前に少なくとも1回は試しておく/滑りにくい靴を用意する」と勧めています。ここで効くのはクッションではなく、アウトソールのグリップです
  • サンドバッグランジ・バーピーブロードジャンプなど下半身の踏み込み種目: 公式サイトはサンドバッグランジを「主に太もも・臀筋を使う種目」としています。踏み込みや着地でブレないためには、ヒールが低くフラットな、安定志向の作りが効きます

つまり、ラン向けの「厚く柔らかいクッション」と、レジスタンス種目向けの「低くフラットな安定」は、同じ1足の中でトレードオフになります。以下で比較する3モデルは、このトレードオフをどこに置くかがそれぞれ違います。

ラン・スレッドプッシュ/プル・サンドバッグランジ・ウォールボールの4つの種目群について、反発と軽さ/アウトソールのグリップ/低くフラットな安定性のどれが特に求められるかを示したマトリクス。ウォールボールだけは唯一靴を脱いでよい種目として3条件とも該当なしになっている
出典:HYROX公式ルールブック26/27・HYROX公式サイト種目紹介(2026年9月26日確認)
03

HYROX公式パートナー・PUMAのHYROX専用シューズ

プーマ(PUMA)は2017年のハンブルク初開催時からのパートナーで、2023年にはグローバルパートナーとなりました。契約延長により2030年まで、PUMAがHYROXの公式スポーツウェア(NITRO技術のシューズを含む)を提供し、HYROX世界選手権の独占タイトルパートナーを務めることが、PUMA自身のプレスリリースで発表されています。

このパートナーシップのもとで、PUMAは「PUMA x HYROX ディヴィエイト ニトロ エリート 4(DEVIATE NITRO ELITE HYROX)」を、2026年2月19日にHYROXのために設計された初の専用シューズとして発売しました(価格30,800円・税込)。米国の公式製品ページは、改良型アウトソールがソリ(スレッド)で最適なトラクションを発揮するよう作られていると説明しています。

公式が公表する仕様は次のとおりです(UK8サイズ)。

  • 重量: 194g
  • ドロップ: 8mm
  • スタックハイト: ヒール40mm/フォアフット32mm
  • ミッドソール: NITROFOAM Elite(軽量なパッケージで反発性を高めたプレミアムフォームと説明)+PWRPLATE(カーボンファイバープレート)
  • アウトソール: PUMAGRIP(ソリでのトラクションに最適化した改良型アウトソール)

ヒール40mmは、下で比較する2社よりも厚みのある仕様です。反発を優先しつつ、アウトソールでスレッド対応を確保する設計だと読み取れます(公式の仕様表からの本記事の読み解きであり、PUMAが「トレードオフ」と表現しているわけではありません)。

04

他社の仕様: リーボック ナノX4・ナイキ メトコン 10

PUMA以外の2社は、HYROX向けを公式に名乗っているわけではありませんが、クロストレーニング・ウエイトトレーニング向けシューズとして公式サイトで仕様を公表しています。

リーボック ナノX4について、公式サイトは「リフトアンドラン」というコンセプトを掲げるモデルと位置づけ、リフト種目とランの両方を1足でこなす設計思想だと説明しています。仕様は次のとおりです。

  • 重量: 254g
  • ヒール高2.5cm(25mm)/フォアフット高1.5cm(15mm)→ ドロップ換算で10mm
  • ミッドソール: FloatRide Energy Foam
  • アウトソール: フルラバー
  • 価格: 18,700円(税込・通常価格)。2026年9月27日確認時点はセール価格9,990円(税込)で販売中(色によっては在庫切れ。セールの終了時期は公式サイト上で確認できません)

ナイキ メトコン 10は、メトコン 9の後継のモデルです(この記事の公開時はメトコン 9を取り上げていましたが、日本の公式オンラインストアでは後継のメトコン 10に替わっていたため、2026年10月1日に差し替えました)。公式サイトは重量・ドロップの具体的な数値を公開していないため、この記事では数値としては扱いません。公式の商品説明で明記されているのは、次の点です。

  • かかとの下のプレート(Hyperliftプレート)で、スクワット・デッドリフト・クリーンなど重いウェイトを持ち上げるときの安定性を高めると説明
  • 反発力のあるReactXフォームで、メトコン 9よりエネルギーリターンを上げ、軽くしたとしている
  • つま先まわり(トゥボックス)がメトコン 9より広く、アウトソールはフラットで粘着性の高いラバー

価格は、ウィメンズが19,030円(税込)、メンズは表示カラー(白)がセール価格16,199円(税込)でした(2026年10月1日時点。色によって価格が違うことがあります)。

ナイキは、ランニングとリフティングの両方を行う人向けのトレーニングシューズ「Hybrid ラン」も、日本の公式オンラインストアで近日発売としています(価格17,600円・税込、2026年10月1日時点。発売日の記載はありません)。公式の説明では、前足部のAir ZoomユニットとReactXフォームで反発を出し、幅広で粘着性の高いアウトソールで安定とグリップを持たせたとしています。説明文に「スレッドラン」や「バーピーブロードジャンプ」という言葉が出てくるのも特徴です。HYROX向けを名乗ってはいませんが、ランとリフトの両立を前面に出したモデルです。

05

3社の公式仕様を並べる

モデル

位置づけ(公式の説明)

価格(税込・確認時点)

重量

ドロップ/スタック

アウトソール・ミッドソール

PUMA x HYROX ディヴィエイト ニトロ エリート 4

HYROX公式パートナーの専用シューズ。ランから種目までを1足で

30,800円(2026年2月19日発売時)

194g(UK8)

8mm(ヒール40mm/フォアフット32mm)

PUMAGRIP(ソリ用に最適化)+NITROFOAM Elite・PWRPLATE

リーボック ナノX4

「リフトアンドラン」のコンセプト=リフトとランの両立

18,700円(通常価格)/セール中9,990円

254g

10mm換算(ヒール25mm/フォアフット15mm)

フルラバー+FloatRide Energy Foam

ナイキ メトコン 10

重いウェイトを持ち上げるときの安定性を重視(Hyperliftプレート)

ウィメンズ19,030円/メンズ(白)セール価格16,199円(2026年10月1日)

公式値の記載なし

公式値の記載なし

ReactXフォーム+フラットで粘着性の高いラバー

PUMAのモデルはヒール40mmと最も厚みがあり、反発を取りにいく設計です。ナノX4は10mm換算のドロップで中間的、メトコン 10は公式サイトが数値を出していないものの、重いウェイトを持ち上げるときの安定性を前面に説明している、という違いが読み取れます。

06

自分がどの種目を優先するかで見るポイントを変える

3つの優先軸(ランでの反発/スレッドプッシュ・プルでの踏ん張り/ランジ・バーピーでの安定)ごとに、公式仕様のどこを確認すればよいかを示したカード。共通の注記として、1着の仕様がすべての条件を同時に満たすわけではないことを示している
出典:HYROX公式サイト・PUMA公式・ナイキ公式(2026年9月27日確認)
  • ランでの反発を優先したい人: スタックハイトが高く、ミッドソールが柔らかい設計かを確認します(PUMA公式はヒール40mm/フォアフット32mmと公表)。重量が軽いモデルほど、8km区間での体感差が出やすくなります
  • スレッドプッシュ・プルでの踏ん張りを優先したい人: HYROX公式サイトの種目紹介自体が「滑りにくい靴を用意する」と勧めています。アウトソールの素材・グリップ設計をメーカーの説明で確認します(PUMAはPUMAGRIPをソリ用に最適化と説明)
  • ランジ・バーピーでの安定を優先したい人: ヒールが低く、フラットな土台の設計かを確認します。ナイキ公式はメトコン 10のかかとのプレートを、スクワットやデッドリフトなど重いウェイトを持ち上げるときの安定性のためと説明しています。ドロップ(つま先とかかとの高さの差)が小さいモデルほど、踏み込みが安定しやすくなります

1着の仕様がすべての条件を同時に満たすわけではありません。各社の公式仕様を確認したうえで、自分がどの種目を優先するかで選ぶ形になります。世界選手権で上位に入った選手が何を履いていたかは、トップ選手のシューズにまとめています。ナイキが発売を予告しているトレーニングシューズは、Nike Hybrid ランの記事にまとめています。練習と本番で靴を分けるかどうかはHYROXの練習用と本番用でシューズは分けるべき?に、買い替えの時期はHYROXのシューズの寿命と買い替えの目安にまとめています。

ブランドごとに大会で使えるかは、ホカ(HOKA)・アシックス・アディダス・On・アンダーアーマー・リーボック・ニューバランスの記事で、ルールの靴の決まりとスレッドでの注意点、今売られているモデルの価格・重さ・ドロップから確かめています。

07

KEY TAKEAWAYS

  • ルールブックが定めているのは「レース中は原則つま先の覆われた靴を着用する」ことだけ。例外はウォールボールのステーションで、到着したときだけ靴を脱いでよい
  • ラン区間で効く「反発・クッション」と、スレッドプッシュ・プルやランジで効く「低くフラットな安定」は、同じ1足の中でトレードオフになる。HYROX公式サイト自体が、スレッドプッシュについて「滑りにくい靴を用意する」と勧めている
  • PUMAはHYROXの公式パートナーで、2030年までHYROXの公式スポーツウェアを提供する契約。HYROXのために設計された専用シューズ「PUMA x HYROX ディヴィエイト ニトロ エリート 4」(30,800円・税込)は、ヒール40mm/フォアフット32mmとPUMAGRIPを採用している
  • リーボック ナノX4(18,700円・税込)はリフトと短距離ランの両立、ナイキ メトコン 10(ウィメンズ19,030円・税込)は重いウェイトを持ち上げるときの安定性を、それぞれ公式サイトが設計意図として説明している。メトコン 10は重量・ドロップの公式数値を公開していない
  • ナイキは、ランとリフトの両立を前面に出した「Hybrid ラン」(17,600円・税込)を日本で近日発売としている(2026年10月1日時点)
  • どのモデルも1着で全条件を満たすわけではなく、ラン・スレッド・ランジのどれを優先するかで確認すべき仕様が変わる
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