ALL ARTICLES

種目 · 9 MIN READ

スキーエルゴの効果と使う筋肉|HYROXに向けた練習メニューへの入れ方

スキーエルゴ(SkiErg)は、広背筋・体幹・臀部・ハムストリングス・上腕三頭筋・肩を使う全身運動です。力を出すのは体幹と広背筋で、腕は動きを仕上げる役だとメーカーのConcept2は説明しています。同社の公式ページ6本をもとに、使う筋肉、ランニングや筋トレが中心の人の練習への入れ方、5つのセッションのうちHYROX(ハイロックス)に向けて優先するものを整理しました。

スキーエルゴの効果と使う筋肉|HYROXに向けた練習メニューへの入れ方

スキーエルゴ(SkiErg)は、広背筋・体幹・臀部・ハムストリングス・上腕三頭筋・肩を使う全身運動です。腕で引く器具に見えますが、メーカーのConcept2は、力を出すのは体幹と広背筋で、腕は動きを仕上げる役だと説明しています。膝と足首への衝撃が小さい運動でもあります。

この記事では、Concept2の公式ページ6本を読み、使う筋肉に加えて、ランニングや筋トレが中心の人が普段の練習のどこに足せるか、同社が公開している5つのセッションのうちHYROX(ハイロックス)に向けて優先するものはどれかを整理します。

内容は2026年10月4日時点のConcept2の公式ページの説明にもとづきます。筋力や持久力が何%上がる、何kcal消費するといった数字は、これらのページには書かれていません。使い方のコツとHYROXでの規格・ルールはスキーエルゴのページにまとめています。

01

スキーエルゴで使う筋肉

Concept2の製品ページは、スキーエルゴで使う筋肉として次の5つを挙げています。

  • 広背筋(背中の大きな筋肉)
  • 上腕三頭筋(二の腕の裏側)
  • 肩
  • 臀部(お尻)
  • ハムストリングス(太ももの裏側)

同じページは、スキーの動きを、上半身と体幹に大きな運動を与えつつ下半身も使うものと説明し、これらの筋肉を「他の有酸素運動ではできない形で」使うとしています。筋肉ごとにどのくらい使うかという割合は示されていません。

動きのもとになっているのは、クロスカントリースキーでストックを突く動き(ダブルポール)です。Concept2は、体幹を丸める・膝を曲げる・腕を頭上から太ももの横まで大きく動かす、という組み合わせの動きだと説明しています。

HYROX公式サイトの種目紹介も、スキーエルゴは主に腕・肩・体幹を使い、効率よく行うと下半身も関わる全身運動になるとしています。日本の総代理店の商品ページは、上半身・体幹・足を補強する運動だと説明し、上半身と同程度以上の運動を足に与えるとも書いています(根拠となる測定値は示されていません)。

スキーエルゴで使う筋肉を体の部位ごとに分けた図。体幹と背中(体幹・広背筋)は力を出す大きな筋肉、腕と肩(上腕三頭筋・肩)は動きを仕上げる役、下半身(臀部・ハムストリングス)は膝を曲げる前に股関節を折りたたむ動きで使う。立って行う低衝撃の全身運動で、座ると上半身と体幹だけの運動になる
出典:Concept2の製品ページ・技術解説・練習の補完の記事(2026年10月4日確認)
02

力を出すのは体幹と広背筋

Concept2の技術解説は、力の出し方を次のように説明しています。

  • 体幹と広背筋という大きな筋肉が力を出し、腕は動きを仕上げる
  • 引き下ろすときは、膝を曲げる前に股関節を折りたたむ(スクワットではなくヒップヒンジ)。お尻を少し後ろに引きながら、体を前に丸めて力を出す
  • メディシンボールを叩きつける動きを思い浮かべ、腕は後からついてくるようにする
  • 引く時間と戻す時間の比は1対2を目安にする。強く引き、戻す間に呼吸して次の1本を整える

海外のトレーニングガイドにも同じ向きの説明があります。FitnessVoltは、ハンドルが顔の高さを過ぎると広背筋が働いて引きを加速させ、膝を少し曲げることで脚の力が加わると書いています。Velitesは、スキーエルゴの練習が、上半身と下半身の連携、広背筋と体幹の引く力、有酸素の疲労のなかで力を保つ能力を高めるとしています。腕だけで引くと早く疲れるという指摘もあり、PureGymを加えた3件がよくある失敗に挙げています。

同じ器具でも、使い方で運動の範囲が変わります。Concept2は、スキーエルゴは全身運動としても上半身だけの運動としても使え、どちらでも体幹を使うとしています。

03

膝と足首への衝撃が小さい運動

Concept2の製品ページは、スキーエルゴを膝と足首にやさしい低衝撃の運動と説明しています。同社は、ローイングマシンのRowErg、自転車型のBikeErgと合わせて、関節への衝撃のストレスを減らし、運動を続けやすくする器具だとしています。スキーエルゴは立って行う全身運動で、上半身と下半身を使いながら持久力・筋力・スタミナを高める低衝撃の選択肢、という位置づけです。

座って行う方法もあります。Concept2は、座ると上半身と体幹だけを使う運動になり、下半身のけがから回復中の人や障害のある選手にも向くと書いています。製品ページには、脚(ひざから下)をけがした選手は座るか膝をついた姿勢で、通常の強度と時間で練習できるとあります。

けがが減る、回復が早まるといったことを数字で示した記述はありません。けがや持病がある人は、新しい運動を始める前に医療の専門家に相談するよう、Concept2も書いています。

04

ランニング・ローイング・筋トレとの組み合わせ

Concept2は、スキーエルゴの動きを、全身運動で低衝撃のまま上半身の持久力を伸ばせる数少ない動作の1つだと書いています。そのうえで、普段の運動ごとに次のような組み合わせを説明しています。

普段の運動

スキーエルゴを足すと補えること(Concept2の説明)

ランニング・自転車・ハイキング・ウォーキング・ファンクショナルフィットネス

下半身中心の練習に、上半身と体幹の運動を足せる(スキーエルゴも脚は使う)。週に数回入れると脚中心の練習を補える

ローイング

股関節の動きが逆になる。別の動きを足すと、特定の筋肉の疲れを避け、使う筋肉のバランスと腕を動かす範囲を広げられる

ウェイトのサーキット・CrossFitのWOD

器具の前に立ってハンドルを握るだけで始められるので、種目の切り替えが速い練習に組み込みやすい

ローイングとの違いは、1本の終わりの姿勢に表れます。ローイングは股関節を開き、脚を伸ばして腕を引き込んだ姿勢で終わります。スキーエルゴは股関節を閉じ、脚を曲げて腕を伸ばした姿勢で終わります。Concept2は、2つの運動が体の前側の筋肉群と後ろ側の筋肉群を分担して使い、互いに補い合うと書いています。

HYROXでは、スキーエルゴが最初の種目、ローイングが5番目の種目で、シングルス・ダブルス・リレーではどちらも1000mです。両方が8種目に入っているので、どちらか一方に偏らずに練習しておく理由になります。ローイングマシンが無いときの練習はローイングの代用トレーニングにまとめています。

05

普段の練習への入れ方

Concept2は、スキーエルゴを運動に取り入れる方法を4つ挙げています。

スキーエルゴだけで1回の運動にする

長い運動と短い運動、一定のペースとインターバルのどれでもできるとされています。具体的な内容は、次の節で紹介する5つのセッションが参考になります。

筋トレの区切りに1分ずつ入れる

筋トレの種目と種目の間に、スキーエルゴを1分ずつ挟む方法です。Concept2の例は次の流れです。

  • スキーエルゴで5〜10分、軽くウォームアップする
  • スキーエルゴを1分漕ぐ
  • 筋トレを1種目、10回行う
  • 種目を替えながら、1分漕ぐ→筋トレ1種目を繰り返す
  • 最後にスキーエルゴで5分、軽く流す

例に挙がっている種目は、レッグレイズ・腕立て伏せ・エアスクワット・デッドバグ・ステップアップ・オーバーヘッドプレス・クランチの7つです。ステップアップはベンチや台に乗る形、オーバーヘッドプレスはウェイトなどを使う形で紹介されており、種目は自分で選んでもよいとされています。

モニター(PM5)は、休憩時間を決めないインターバル(Workout→Intervals→Undefined Rest)を選び、運動時間を1分にします。1分漕いで筋トレを終えたら「Continue」を押すと、次の1分に進みます。

他の運動と交互に週3回使う

Concept2の提案は、スキーエルゴを週3回使い、ローイング・ランニング・ハイキング・自転車などほかの運動と交互にすることです。これは提案で、この頻度で効果が出るという根拠は示されていません。練習できる日が限られる場合の組み方は週2回のHYROXの練習で紹介しています。

空いた数分に使う

専用の時間が取れないときは、スキーエルゴの近くで空いた数分にハンドルを握るだけでもよい、とConcept2は書いています。座りっぱなしの日に立つきっかけにもなるとしています。

スキーエルゴを含めた1回分の通し練習の組み方は普通のジムでできるHYROXの練習メニュー、初出場に向けた練習の組み立てはHYROX初出場のための練習の組み立てにまとめています。

06

Concept2が公開している5つのセッション

Concept2は、ねらいの違う5つのセッションを公開しています。使うエネルギー系がそれぞれ異なり、目的に応じて組み合わせるものとされています。

セッション

内容

ねらい

持久の土台づくり

70〜80%の強度で10分×3本(間は2分軽く流す)

有酸素の土台をつくる。軽い疲れのなかで正しい技術を練習する

レースシミュレーション

目標のHYROXのペースで500m×8本(間は90秒軽く流すか、立って休む)

本番で保ちたいペースを保つ。全本でワット数とペース(スプリット)をそろえる

パワースプリント

全力で30秒×10本(間は90秒軽く流すか休む)

爆発的な力と速筋の反応を鍛える

ピラミッド

250m・500m・750m・1000m・750m・500m・250m(間は2分軽く流す)

スピード持久力を伸ばし、ペースを守る。距離が短くなる後半は速くする

ロンググラインド

最大心拍数の60〜70%(ゾーン2)で45分続ける

心肺の持久力と精神的な粘りをつける。速くなりすぎないようにする

ロンググラインド以外の4つは、10分の軽いウォームアップから始めます。レースシミュレーションは500m×8本で合計4000mになり、HYROXの本番で漕ぐ1000mの4倍の距離を、本番のペースで分けて練習する内容です。ピラミッドも7本の合計は4000mです。

強度とペースの決め方は、セッションによって違います。

  • レースシミュレーションの目標ペースが分からないときは、スキーエルゴで5kmを漕いだときの自己ベストのペースを目安にします(ランニングの5kmのタイムではありません)
  • 持久の土台づくりとロンググラインドは、最大心拍数から心拍ゾーンを求めて決めます。最大心拍数が分からない場合の出発点として、Concept2は「220−年齢」の式を挙げています

心拍ゾーンの考え方はHYROXの練習と本番で心拍数をどう使うかにまとめています。

HYROXに向けて優先するセッション

Concept2は、5つの使い分けを次のように案内しています。

  • スキーエルゴが初めての人は、持久の土台づくりと短いスプリントから始め、ピラミッドや長いインターバルはその後に取り組む
  • HYROXの準備をしている人は、レースシミュレーションとロンググラインドを優先する

短いスプリントがどのセッションを指すかは明記されていませんが、5つのなかでは全力30秒×10本のパワースプリントが当たると読めます。

Concept2の5つのセッションを目的ごとに分けた図。スキーエルゴが初めての人は持久の土台づくり(70〜80%の強度で10分×3本)と短いスプリント(編集部の解釈ではパワースプリント=全力で30秒×10本)、HYROXに向けて準備する人はレースシミュレーション(目標のペースで500m×8本)とロンググラインド(最大心拍数の60〜70%で45分)、慣れてから取り組むのはピラミッド(250mから1000mまで上げて250mに戻す)。ロンググラインド以外は10分の軽いウォームアップから始める
出典:Concept2「Five SkiErg Workouts to Boost Your Fitness」(2026年10月4日確認)。短いスプリントをパワースプリントと読んだのは編集部の解釈です

本番の1000mについては、海外のトレーニングガイド3件が、最初の200〜250mで飛ばしすぎないよう注意しています。FitnessVoltはこれを最も多い失敗、PureGymはよくある失敗としています。全本のペースをそろえるレースシミュレーションは、一定のペースで漕ぎ続ける練習になります。レース全体での力の配り方はペース配分で紹介しています。

07

効果の数字は公式ページに書かれていない

Concept2の公式ページ6本(製品ページ・技術解説・練習の補完の記事・4つの使い方の記事・5つのセッションの記事・低衝撃の運動の記事)には、スキーエルゴで筋力や持久力が何%上がる、何kcal消費する、といった数字は書かれていません。書かれているのは、どの筋肉を使うか、どんな練習に足せるか、どんなセッションがあるかまでです。

上達は自分の記録で確かめることになります。Concept2は、無料アプリのErgDataでワット数・ペース・心拍数を記録し、時間をかけて上達を追うことを勧めています。モニター(PM5)は時間・距離・ペース・カロリー・ワットを表示し、1本ごと、インターバルごと、運動ごとに比べられます。同じセッションを繰り返して、ペースやワット数を前回と比べると変化が分かります。

08

スキーエルゴを使える場所と無いときの練習

09

KEY TAKEAWAYS

  • スキーエルゴで使う筋肉は、広背筋・上腕三頭筋・肩・臀部・ハムストリングスと体幹です(Concept2の説明)。力を出すのは体幹と広背筋で、腕は動きを仕上げる役です
  • 膝と足首への衝撃が小さい運動で、座って行うと上半身と体幹だけの運動になります
  • ランニングや自転車など下半身中心の練習には、上半身と体幹の運動を足せます。ローイングとは股関節の動きが逆で、補い合う関係です
  • 練習への入れ方は、単独のセッション、筋トレの区切りに1分ずつ、他の運動と交互に週3回、空いた数分、の4つです
  • HYROXに向けては、5つのセッションのうちレースシミュレーション(500m×8本)とロンググラインド(ゾーン2で45分)を優先すると、Concept2は案内しています
  • 筋力や持久力の伸びを示す数字は公式ページに無く、上達はモニターやアプリの記録で確かめます
HI

NEWSLETTER

HYROXの情報を続けて知りたい方へ

練習や大会の新しい記事・最新情報をメールでお届けします。登録はメールアドレスだけで、いつでも停止できます。

ご登録の前にプライバシーポリシーをご確認ください。

HYBRID INDEX™© 2026 HYBRID INDEX MEDIATRAIN HARD. LIVE WELL. STAY CURIOUS.